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「Aさん…………?」

「っ……あ、えっと…………何の話だったっけな」



怪我の回復の為、普段よりさらに多くの鍛練をこなしているからか、動きや背姿は、いつもの凛としたAさんに戻った。

が、ここ最近、会話をしているときの返事が妙に辿々しい。

何か、気に障ることをしてしまったのだろうか…………傷付くことが怖ェ臆病者だから、理由を直接聞くことなんて、出来ないが。



「俺、明日から任務で…………」



言いかけて、気付く。



「え…………任務……?」



Aさんは、驚いたように俺を見つめる。真っ赤な瞳で、俺を捉える。

…………んだよ、その顔。

悲しそうな、物欲しそうな。



「…………俺居なくて、寂しいすか」



……少なくとも、俺はそうだった。

Aさんの、いつもとは違う反応に触発されて、冗談のつもりでそう言ってやると


「…………っ!」



ブワッと顔が真っ赤になって。



「あ…………俺、」



羽織の先を、握ったり、離したりしている。

っ…………まて、待て待て待て。

は……?Aさん、何してんだよ。それ、やめろ。可愛過ぎるっつの……

あークソ、やべぇ、押し倒してェ。

…………期待とか、してしまう。



「…………直ぐ、戻ります」



Aさんに言われて嬉しかった言葉を、今度は俺が耳元で囁く。

Aさんの肩がビクッと跳ねた。

「だから、」と、俺は続けて



「また、離れちまうんで……Aさんのコレ、まだ持ってていいすか」



首飾りをちらつかせる。

すると、Aさんはそれを取り上げて



「…………じっとしてろ」

「…………は!?いや、ちょ、Aさ…………」



急に距離を詰められて、首に腕を回される。

ち…………っかいっつの!

ヤバイ…………マジでヤバイ。

Aさんの項が、直ぐそこにある。……噛みついてしまいそうだ。

バクバクと煩い心臓を、必死に押さえていると



「お前の方が、似合うな」



優しく笑む、Aさん。

…………俺の首に、付けたのか。

本当に、この人は。



「敵わねェ…………」

「?」



Aさんはいつも、不意にドキッとすることを(無意識に)仕掛けてくる。

悔しくて、俺も何かしてやりてェと思って。



「っ…………!?」



首に、噛みついてやった。





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mikitty(プロフ) - 好きです!!!! (2022年12月25日 13時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - やっぱり何回見ても最高だなぁ、ぐへへ(( (2020年12月19日 14時) (レス) id: 4fc468f2f2 (このIDを非表示/違反報告)
柴犬(プロフ) - 素敵な作品ですね...、愛情表現や色気のあるシーンがすごく好きで一気読みしてしまいました。他の作品も読ませて頂きたいのですがパスワードというのはどちらで伺えばいいのでしょうか...? (2020年5月30日 9時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ohagi - めっちゃ最高でした。自分も腐ってるのでBLの方がよけい萌えました! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 8e8ba22e4c (このIDを非表示/違反報告)
ひつじマイケル(プロフ) - お疲れ様です!読んでいてとても面白かったです!よろしければこれの短編集を読んでみたいです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 37a32601d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たつき | 作成日時:2020年2月29日 20時

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