不道徳な ひと【緑】vol.2

・062 ページ12

彼女達が卒業して4年後

『4年前までお世話になっていましたが、今年からまたお世話になることになりました、錦戸 亮です』

錦戸くんは、本当に高校教師になって戻って来た


「大倉先生、ありがとうございました」


「何が？」


「……西崎先生ん事」


「あぁ〜、おめでとさん」


「えっ？」


「付き合うことになったんやろ？西崎と…」


「はい、まぁ。おかげ様で……あの」


「ん〜？」


「先生って、俺らが卒業してから、あいつらに会いましたか？中西や沼田と…」


「いや。中西さんの話は、ヤスからよぉ聞くけど、沼田さんのことは……」


「あいつ、ちゃんと調理師んなって、この間まで地元のホテルで働いとったんですけど、今度 幼なじみと店 出すみたいで」


「……そっか。着実に夢に近づいてるんやね」


「……イケメン、らしいっすよ」


「はい？」


「沼田の幼馴染、年上のイケメンやって、中西が言ってました」


「へぇ〜」


「ええんですか？」


「ぅん？何が？」


「取られてまいますよ？沼田んこと」


「はっ？何 言うてんの？」


「俺ら、もう立派な大人です」


「そら、わかってるよ。でも、もう俺が沼田さんに会うなんてこと、ないやろ」


「ならっ。もし、沼田と再会する事があったら、ちゃんとあいつん事、見てやって下さい」

頭を下げる錦戸くん。ホントに中西さんと沼田さんのことが大切なんやろな。2人のことだと、一生懸命。そんな彼を見ていたら

「………わかった」

と、答えるしかなかった



錦戸くんと、そんな会話をしたのも忘れてしまいそうな、7月の初め

いつも通り、ヤスを家に招き料理を振舞っていると


「なぁ、大倉？」


「ん〜？」


「僕さぁ、結婚 する事にしたわぁ」


「ふ〜ん……」

って。いつもの様に、間延びした喋り方で話すから、普通に返事してもぉだけど


「えっ？何それ。俺 聞いてへんけどっ！」


「うん？やって今 初めて話したし」


「プロポーズとか、したん？」


「おん、もちろんっ♪」



こっち戻ってくるときも、結婚も、えらい急な話で



それでも、幸せそうに話すヤスを見てると、こっちまで幸せな気分になる

・063→←・061

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す