【d!】前世猫系女子高生【zm】

6話 ページ7

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先生の説明を自分の中で反芻した後になんとか内容を理解し、板書された文字の羅列を目で追ってノートにペンを走らせた。あ、また間違えた、と数度目の誤字に気づく。自分に呆れつつも誤った部分を雑に消して書き直すのは本日四度目のことだ。消し跡と修正テープが目立つ随分と不格好な授業ノートを一覧して心中でそっとため息を吐く。元来、物理が苦手というのもあるが、斜め後ろから感じる視線も相まって今日は一段と授業に集中することができない。

一限目まで視線の主――ショッピ君に捕まることはなかったが、その代わりに背中に突き刺さるナイフのように鋭い眼差しを延々と向けられた状態で授業を受ける羽目になってしまった。古文も保健も地理も今受けている物理も、片時も目を離してくれない彼のせいで中々身が入らず、積もるばかりの心労にじわじわと削られる精神。昼休みは目前であるけれど、午後の授業でもこの状況が続くと考えると胃が痛む。さて、どうしたものか。


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「うぅん……」


中庭のベンチに腰を下ろし、手製の弁当を食みながら敵意MAXのショッピ君をどうにかできないかと思案するものの、明敏とは言い難い私のちっぽけな頭脳は妙案を弾き出すことはなかった。このまま何も対処せず放置することは実に簡単である。だが、何もしなければ確実に死んでしまう。私の立場と精神が。メンタルが弱いわけではないけれど、嘗て良くしてもらった人――相手に記憶があるかは不明だが――に、こうも警戒されていると誰だって悲しくなるものだろう。

昔みたいに親しくなりたい、なんて高望みはしないが、せめて一クラスメイトとして、私はショッピ君とありふれた関係を築きたいのだ。まあ、初対面でまさかの再会に動揺して挙動不審になった挙げ句、名前を知らないはずなのに彼のあだ名を口にしてしまった私のことをヤバい奴だと認識しているであろうショッピ君とそんな関係性になれる可能性は無に等しいが。第一印象が最悪の人間を警戒するのは当然のことだし、一周回って相手の振舞が気になるのも理解できる。彼に関してはそれが過剰すぎる気もするけれど。

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