【d!】前世猫系女子高生【zm】

16話 ページ17

午前中は何事もなく時が過ぎていった。
今は昼休み。
丁度弁当を食べ終わったところ。
午後の授業まではまだ30分ほどある。

さてと今日一つ目の用事を済ませに行こう。
空になった弁当箱を持って中庭を去った。


───────────────


着いた先は飼育小屋。
兎に鶏にモルモット...。
いくつかのスペースに区切られたそこには多種多様な動物が暮らしている。
そして私がここに来た理由は＿＿＿


『イフさん、外道丸』


前世からの友人に会うためだ。
馬小屋と狼小屋の中間に位置する場所に立って話しかける。
イフさんは嬉しそうに駆け寄って来て外道丸は優雅に歩いてくる。

この子たちとは昔からの仲。
入学した時びっくりしたよね。
動物も転生するんだって。

ちなみにイフさんことイフリートは私の先輩みたいなものだ。
私が拾われるよりも先にゾムと暮らしてたからね。
だから敬称をつけてイフリートさん。
でもそれだと長いから略してイフさん。
可愛いでしょ。

双方の頭を撫でて癒される...場合じゃなかった。


『今日はねお話しに来たの。だから遊んであげられないんだ』


ゴメンねと言えば2匹とも小さく鳴き声を漏らした。
うぅ...私もできれば現実から目を背けて遊んでたいよ。


『あのね...私色々あって君たちの飼い主とかその仲間に敵だと思われちゃってるの』


ショッピ君以外にそう言われたわけではない。
だけどこの調子なら全員似たような目で私を見ているだろう。


『それでね今日頑張ってその誤解を解くんだ。
成功したらいつも通りの日常に戻るだけ。
失敗したら...多分ね退学になっちゃうと思うんだ。
だから今日で会うのが最後になるかもしれない』


言葉にすればするほど何だか他人事のように感じられる。
でも全部私のこと。まぎれもない現実。


『会えなくなるのは寂しいけどそれでもいいの。
皆が幸せになれるんだったら。
今度こそ幸せに暮らしてほしいから』


君たちも同様に幸せになってほしいんだよ。
そう告げれば悲しそうな眼をして私を見てきた。
この子たちは賢いからきっと私の言葉が分かってる。


『勝手な想像だけどね。
これは私への罰なんじゃないかな、って。
皆の事守れなかった私への』


私は外道丸みたいに人を乗せて運ぶような役に立つことはできない。
私はイフさんみたいに強靭な牙を持ってないから戦えない。

だから皆の一番大切な存在を守れなかった。
...なんてただの言い訳か。

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