14話 ページ15
私は彼らとの思い出に縋るように城で暮らした。
毎日毎日場内を散歩した。
人の消えた城は悲しくなるくらい静かだった。
...消えた、という表現は適切ではないかもしれない。
そこら中に“人だったもの”は転がっているからだ。
不気味で恐ろしくて残酷な現実を突きつけられた。
それでも私は毎日歩いた。
彼らが生活していたこの場所を絶対に忘れないように。
幸せな日々を忘れないように。
人には二つの死がある、とエーミールが言っていた。
一つは肉体的な死。
もう一つは＿＿＿精神的な死。
簡単に言えば人の記憶から消えてしまうときだ。
だから私の記憶から彼らが消えなければ彼らは生き続ける。
...なんて子供みたいな考え。
だけどそうでも考えないと孤独感に押し潰されて死んでしまいそうだった。
───────────────
終戦から数週間後、城に来客があった。
初めて見る人間、でも軍服を着ていた。
直感でノワード国の人間だと分かった。
きっとグルッペンの死体でも回収しに来たのだろう。
彼の死体はまだ総統室にオスマンと共に放置してある。
嫌だ。
これ以上彼に何をしようって言うんだ。
止めないと。
その思いでいっぱいだった。
でも所詮はただの猫。
人間に勝てるはずがない。
私は銃殺された。
痛みなんて感じないくらいの一瞬の出来事。
だから不思議と怖いとは思わなかった。
いや、それ以上に
これで彼らのもとへ行ける
その思いが強かったんだ。
───────────────
...あれから数百年。
時が経つのは本当に早い。
さて思い出に浸るのはここまでにして、どうやって誤解を解くか考えなくちゃ。
やっぱり下手に誤魔化すよりは正体をばらす方がいいよね。
一番手っ取り早い方法だし。
...失敗したときは十中八九退学かな。
彼らからすれば私は不安要素の塊。
それを放置する程彼は＿＿＿グルッペンは馬鹿ではない。
高校生になって数ヶ月しか経っていない。
それでも、それなりに仲がいい友達ができた。
楽しい思い出だって作った。
私にとって大切な場所。
だから退学は避けたい。
だけど、彼らが不安を抱えずに幸せに過ごせるのであれば、私は何だって受け入れよう。
彼らの幸せが私の願いだ。
＿＿＿もし成功したら
『なんて、ただの理想か』
一瞬脳裏によぎったビジョン。
彼らの輪の中に私も加わって笑い合う未来。
彼らを救えなかった私が幸せになっていい筈がないのに。
...何にせよ明日がどうなるかだ。
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アイス食べたい(プロフ) - 宇琉夜ハルさん» cnが含まれていないのは「現段階」では本編に登場しないからです。ネタバレになるので詳細を伝えることは出来ませんがcnは後々出てくるので楽しみになさってください。 (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 6cf21ff731 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - この小説に入ってるかどうかわからないんですけど18話でciノさんの戦争狂の総統みたいな書いてないです (2021年7月17日 1時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
アイス食べたい(プロフ) - 宇琉夜ハルさん» わー！！恥ずかしい誤字をしてますね！！syh誰だよ！？全然気付いてませんでした(^^;)即刻修正いたしました。ご指摘ありがとうございます！ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 6cf21ff731 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 10話でshpさんの名前違いますよ！(syh｢｣となってます！) (2021年7月17日 0時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 面白いですね。応援しているので頑張って下さいね！ (2021年6月13日 15時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作者ホームページ：https://twitter.com/1126_aisu
作成日時：2019年7月26日 10時
