【d!】前世猫系女子高生【zm】

プロローグ ページ1

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記憶が二つある。


一つは所謂前世の記憶。遠い昔に滅びた軍事国家「我々国」。その国に住んでいた黒猫が私の前世である。飼い主は軍の幹部で誰よりも強くて優しい人。死にかけの私を拾い、愛情を注いでくれたあの人には感謝してもしきれない恩がある。彼の仲間である軍人達もまた、私を可愛がってくれた。個性的だけど暖かくて良い人たちに囲まれた生活に私は誰よりも満たされていた。

しかし、そんな幸せは永久に続くものではない。永遠など存在しない世界ではどんな物事にもいつか平等に終わりがやって来るのが当たり前だ。それはいつだって突然のことで、私の日常も何の前触れもなく崩壊した。

謀略で最初は私の飼い主が。次に紫色の後輩が。それから、それから――。戦争好きな総統も、苦労人な書記長も、甘味が好きな外交官も、皆皆死んでしまった。誰一人として生き残ることはなかった。そして最後に、私の命も。

幸せが毀れ始めた日から死ぬまでの人生は苦しみばかりだった。辛いなんてものではない、まさに地獄の日々。それでも十余年の短い人生は彼らのおかげで本当に幸せだったし、あの世で彼らに再会できるのならばと死の瞬間に恐怖はなかった。黒猫、Aの物語はそこで終わった――筈だった(・・・・)。


事実は小説よりも奇なり。


既に終幕したと思われていた私の人生はどういうわけか開演ブザーを鳴らし、再び緞帳を上げて私を舞台に引き摺り出したのだ。それが15年と数ヶ月前のこと。もう一つの記憶である今世、猫宮Aの生涯の始まりだった。



設定

猫宮 A

・我々学園高等部1年A組の生徒
・前世はゾムの飼い猫(♀)

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