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〆.
「えー……んー………恋、なんちゃう、?」
「恋………」
放課後に神山くんがまた話しかけてきてくれたので、心のもやもやを打ち明けてみた。
彼は少し困った顔をして、「その人に恋してるんやで、中間さんは」と続けた。
「中間さんの言うてる男がどんなやつかはわからんけど、釣り合わんとか、自分以外の女の子が横いてるとかって思うんがつらいんはそういうことやろ」
「…………………………」
やきもち、独占欲。
一緒にいると幸せで、嬉しさは共有したくて。
「……好き、」
人のまばらになった教室で、ちらちらと私の様子をうかがう大毅くんだけを目で追いかけた。
「……………片想い、だよね。きっと」
「なんでそんな自信ないんよ?」
「その人、本当に本当に素敵な人なの。私なんか……」
私なんか絶対、政略結婚なんてなければ見向きもされなかったはず。
となると、今二人で暮らしてるのも苦痛なんじゃないかな……。
「っ、ごめんね」
スカートの裾をきゅっと握る。
「私、もし好きな人に好きな人がいたら、大人しく諦めて応援するタイプなの。……そういう話は聞いたことないけど、きっと………」
大毅くんが恋をしたら、本当に応援できる?
建前ではそうでも、心からは無理だろう。
「しげ〜」
「んえ?」
クラスの女子と大毅くんが喋り始めた。
………ああ、ダメだ。そんな小さなことですら嫌だもん。
「ごめん、神山くん。帰るね、じゃあね」
「え?ああ、おう……」
涙腺がゆるくなったみたい。
荷物を雑に持って、逃げるように学校を出た。
すれ違う人がみな興味深げに私に目を向ける。
泣いてるからだろう。
それも情けなくて、涙が止まる気配はなかった。
その日、同居を開始してから初めて、
家事をサボった。
〆.
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まりん(プロフ) - 続き気になります! (2019年5月2日 10時) (レス) id: b59f2ee03b (このIDを非表示/違反報告)
神なな - ほんとにぃっ!なんですか!?こんな可愛いお話…ヤバイですよー!シゲに抱きつかれるなんて夢のそのまた夢の夢の夢の…夢の…y‥更新頑張ってください!!!!次も必ず見ます!読みます!叫びます! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 23077af701 (このIDを非表示/違反報告)
A - な!なんですか!?!?このほのぼのかわいいお話は私今まで見たお話でいっっっちばんすきなお話かもしれないです!大変かもしれませんがこれからも更新頑張ってください!! (2019年4月30日 21時) (レス) id: fe81496d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2019年4月30日 15時