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〆.
「中間ってしげの嫁?」
「っ、」
藤井くんにそう声をかけられたのは、お昼休みも終わりかけ、トイレから戻ろうとした時だった。
女子トイレの前で待ち伏せは良くないよ……。
「しげと同じタイミングで遅く来たんも、しげと同じ日に弁当忘れてコンビニ飯なんも。偶然?それとも朝からイチャイチャしてて弁当作れんかったん?」
鋭い。合ってるもん。
「………藤井くんは賢いね」
結局は推論なんだろうけれど、バレるわけにはいかない。
取り乱して慌てて否定しても肯定と同意義になってしまうので、静かに首だけ振っておいた。
嫁?っていう方に対して首を振った体だから、嘘はついてないつもり。
「あの明るくて誰にでも好かれる重岡くんと、私が?誰が見たって釣り合わないよ」
言ってて虚しくなるけれど、事実には違いない。
胸がきゅっとなったけど、気付かないフリをした。
「………別の意味で釣り合わへんな、うん。全世界がブーイングやわ」
藤井くんがため息をひとつつく。
「でも釣り合うとか合わんとか、恋愛ってそういうことやないやろ」
「…………………………」
恋愛、?
「それは……そうかもしれないけど、私、重岡くんのこと…………」
好きじゃない、って?
「別に………」
私は大毅くんのこと、本当に好きじゃないのかな?
婚約者で、いずれ結婚して子供も産んで。
恋愛感情があってもなくてもそういう人生になることは間違いない。
「………へぇ?ほんなら、うん」
私の曖昧な答え方をどう捉えたのか。
藤井くんは何度か頷いて、「同盟解消も全然アリやな」と私の顔を覗き込んだ。
「っ、」
藤井くんは背が高いから、わざわざ私と目線を合わせるように。
「ま、中間に相手がおろうと、好きなやつがおろうと、関係ないけど」
「あれー!流星?」
〆.
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まりん(プロフ) - 続き気になります! (2019年5月2日 10時) (レス) id: b59f2ee03b (このIDを非表示/違反報告)
神なな - ほんとにぃっ!なんですか!?こんな可愛いお話…ヤバイですよー!シゲに抱きつかれるなんて夢のそのまた夢の夢の夢の…夢の…y‥更新頑張ってください!!!!次も必ず見ます!読みます!叫びます! (2019年5月1日 19時) (レス) id: 23077af701 (このIDを非表示/違反報告)
A - な!なんですか!?!?このほのぼのかわいいお話は私今まで見たお話でいっっっちばんすきなお話かもしれないです!大変かもしれませんがこれからも更新頑張ってください!! (2019年4月30日 21時) (レス) id: fe81496d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2019年4月30日 15時