時計の針が一周したあとは【Daiki.A】

※※ ページ7

「えっ？ だってリクエストに誕生日を祝いたいって……。

だから、今日が誕生日の俺が選ばれたんだよ？」



「うそっ！？ そんな……。」


彼から聞かされた身に覚えのないリクエストに、慌ててハンドバッグをゴソゴソさせてスマホを取り出す。



何度もタップミスをしながら3日前に届いた確認メールをやっと開く。



希望日:4月15日


うん、これは間違えてない。


次に書かれていたのは待ち合わせの場所

そして、派遣彼氏の欄にはDAIKIさんの名前。



画面をスクロールして最後に私が書いたリクエスト欄。



「うそっ……。」



そこを見たらどっちが正しいことを言ってるかなんて、すぐに分かった。




“誕生日をお祝いしてほしい”




そう書いたはずなのにリクエスト欄に書かれていた内容は……





“誕生日をお祝いしたい”




DAIKIさんは悪くなかった。




間違えていたのは私の方だったんだ。




「何で？ 何で？」


慌ててこれを入力した時のことを思い出す。


あの時、急いで入力していたリクエスト欄。


文字を打つ時も予測変化に出てきた単語をポチポチと押していたことを思い出して、メモアプリを開く。


最初に入力するのは“誕生日”


そのまま、次はリクエスト欄通り“お祝い”の文字を入れ込む。


すると、次の文字を入力する為の予測変化のトップに出てきたのは“したい”の単語。






やってしまった……




きっとあの日も、この文字が先頭に出てきて、よく確認もせずに打ち込んでしまったんだ。

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