時計の針が一周したあとは【Daiki.A】

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もしかしたら、さっきのやり取りも私の緊張を解いてくれるためだったのかな？



「ごめん、、

私、人見知りがあって無意識に緊張してたのかも。」


「謝ることないよ。

俺だって初めて会う人とは緊張する時あるし。」


柔らかな眼差しで教えてくれたのは、派遣彼氏の素の姿。


「大貴もこういう仕事してるのにあるの？」


知りたくてまた聞いてしまう彼の仕事について。


今度もスルーされるかなて思った。


だけど

「そりやぁね。

でも……。」



彼が一緒に持っていたマップを私の手から取り、自分の片手に収める。


そして、真横に立っていた彼が私の方に向いてから、また私の腰に彼が腕を回す。



「Aとは初めて会った時から自然体でいられてるよ？」


甘い笑顔で言われたそれは、セールストークかもしれないのに本当に心からの言葉に聞こえてしまうの。









「そういうの、皆に言ってるんでしょ。」



棘のある言葉にまた寂しそうな顔。



「本当なのになぁ。

 じゃあ、ここでゆっくりしてるのもあれだし、そろそろアトラクション行きますかね？」




寂しさはすぐに消えて、仕切り直しのように元気になる彼の声。



私を誘導するように差し出された彼の左手に誘われるまま、手を取ればナチュラルに指と指が絡み合う。




触れ合っている指先はじんわりと熱を帯びて忙しくなる胸の中。



だけど、きっとこれは大貴にドキドキしてるからじゃないの。



今日が4月なのに真夏みたいに暑いからだって言い聞かせる。




「手繋ぐのはいいなら“大好き”も言えんじゃねぇの？」


触れ合っている指先を、大貴がすりすりさせながら試すような視線。


「それとこれとは別なの。 絶対言わないよ？」



「そ？」



余裕の微笑みを見せてから歩き始める彼に合わせて、私も彼の隣を歩き始める。




だけど



この時大貴が言わせようとした



たった4文字の



”大好き”



それが



”言わない”から



”言えない”に変わってしまって



ウソでもいいからあの時言えばよかったって強く想うのは


もっと


もっと


二人の仲が深まってから

AM 11:30→←※※※

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