すれ違い.4.NOside ページ5
『……はぁ』
今日から停学明けの赤羽Aは、1番後ろの席で、1人ため息をついていた
他のE組生徒は、みんな更衣室で制服に着替えている
遅刻したため体育に参加していなかったAは、1人で教室に来ていたのだ
Aが床の一点を見つめていると、ガララッという古いドア特有の開く音がした
Aがそちらを見ると、同じ赤髪を持つ片割れが、そこに立っていた
お互い目を合わせたまま、しばらくの沈黙が流れた
先に目を逸らしたのは妹
先に口を開いたのは兄だった
「…今まで何してたんだよ」
『……別に』
「俺がずっと連絡してたの知ってたくせに、なんで無視なんかしたんだよ」
『…じゃあ逆に聞くけど、なんで今更そんなこと言うの？』
「…は？」
『あの時は自分だけ逃げたくせに…今更兄貴ヅラしないでよ』
冷たい目で睨まれたカルマは、少しだけ萎縮したものの、教室に入り、Aの席へ向かった
そして、Aの机に両手を置き、上からAを見下ろした
「なんのこと言ってるか知らないけどさ、いい加減にしろよ
いつまでもワガママ言って、そんな幼稚なことずっと続くと思ってんの？」
『……自覚してないんだ…それとも、覚えてないの？』
「は、なんのことだよさっきから」
『…もういい』
カルマの言葉に、態度に、冷たかった目をさらに暗くして、Aは立ち上がった
そして、カルマが止める暇もなく、押し退けて教室を出ていった
残されたカルマは、呆然と立ち尽くして、Aが出ていったドアを見つめることしか出来なかった
「……A…」
カルマがそう小さな声で妹の名前を呼んだ時、聞こえた音はその返事ではなく、クラスメイトの声だった
「あっ、ちょっ…押すなって！」
「だってカルマがっ…！あのカルマが！」
「泣きそうなツラしてやがんぞ！」
そんな小競り合いの後、ほぼ全員のE組生徒が、教室になだれ込んできた
それを見たカルマは、一瞬で額に青筋を浮かべ、顔を引き攣らせた
「…まさか、聞いてたの？」
「えっ！？あっ…いや…あの…えっと〜…ハハ」
静かに聞いたカルマに焦りながら答えたのは、前原陽斗だった
その後ろにいる生徒達も、みんな冷や汗を浮かべている
その様子で、カルマは全てわかった
彼等はおそらく、自分と妹とのやり取りを全て見ていた
でもただならぬ雰囲気から、入ることが出来なくて立ち聞きをしたんだろう、と
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沙羅 - 更新楽しみにしてます！！ (2020年3月4日 20時) (
レス) id: 6b1841d04d (このIDを非表示/違反報告)
偽善少女(プロフ) - すっごく面白いです！！次のお話が楽しみです！頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 04840ecaec (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 琥珀くんさん» 初めて同じ名前の方をみました！ありがとうございます！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん - 同じ名前ですね!再新頑張ってください!!応援します！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: 8bf3196fdf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - あかりさん» ありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年8月12日 18時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀くん | 作成日時：2018年12月23日 18時
