すれ違い.12.倉橋陽菜乃 ページ13
「倉橋さん、ちょっといいかな」
数学が終わったあとの休み時間
今日の残りの授業は次の国語だけ、という時間
数学の時にちょっとだけ遅れた竹林くんに、呼び止められた
「なに〜？」
「…ここじゃなんだから、ちょっと向こうに…」
「…うん」
なんのことかよく分からないまま竹林くんに着いていった
…分かりたくなかっただけなのかもしれない
だって、竹林くんは珍しく授業に遅れた
そのあとにはAが遅れてきた
つまり、2人は一緒にいたってことだよね
それから竹林くんが私を呼ぶってことは、Aの話。
冷静になれば分かるはずなのに、久々にAのことを見た今では、分からなかった
「それじゃ、単刀直入に聞くね」
「うん、」
廊下を歩いているところで立ち止まった竹林くんは、振り向きながら言った
その顔がいつもより真剣味を帯びてて、息を飲んだ
「倉橋さんは、Aと仲が良かったよね？
…なのにどうして今じゃなにも…話したりしないんだ？
友達だったら、停学明けで久々に会った子に話しかけたりとか、久しぶり、って挨拶したり…するものじゃないの？」
「…実はね、Aが停学になるちょっと前に、Aが不良に絡まれて…」
あの時のことを思い出すと今でも吐き気がするくらい
それくらい、あの時のことは今の私のトラウマだった
「そう、だったんだね
そんなこと知らなくて聞いたりして…ごめん」
「ううん、気にしないで！
…でもやっぱり、だめだよね
あれからずっと逃げっぱなしだもん」
「…きっとAは、まだ倉橋さんのことが好きなはずだよ
その時だって、倉橋さんのことが好きで、大切で、そんなこと言ったんだと思う」
「…そう…なのかなぁ」
竹林くんとの会話で思い浮かべていたのは、1年生の夏から2年の夏までの1年間、ほぼ毎日ずっと一緒にいた親友の
Aの、あの笑顔だった
「…私、Aに話しかけてみようかな
今日の放課後…とか…」
「…うん、それがいいと思うよ」
「…私の気のせいじゃなかったら、A、もうすぐ壊れそうな気がするんだ
今日、ちょっとしか見てないけど、そんな気がする」
「…うん、僕も、そう思う」
「…あっ！チャイム鳴っちゃう！行こ、竹林くん！」
「…そうだね」
教室まで走っている時、私は思った
またあのAの笑顔が見たい、って
.
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沙羅 - 更新楽しみにしてます！！ (2020年3月4日 20時) (
レス) id: 6b1841d04d (このIDを非表示/違反報告)
偽善少女(プロフ) - すっごく面白いです！！次のお話が楽しみです！頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 04840ecaec (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 琥珀くんさん» 初めて同じ名前の方をみました！ありがとうございます！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん - 同じ名前ですね!再新頑張ってください!!応援します！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: 8bf3196fdf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - あかりさん» ありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年8月12日 18時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀くん | 作成日時：2018年12月23日 18時
