マ ページ10
「あ...こんな所で立ち話もあれだから」
「え？」
「入って？」
「えっ！？良いの！？」
彼女が玄関の方へ戻って行くから、その後をついていく...んだけど、本当に良いの？って足が止まっちゃう。
「...あのっ、あのっ！」
「え？」
「本当に...良いの？」
女の子の家だよ、良いの？
そんな風に思ってたら、開きっぱなしだった玄関から女の人が顔を覗かせた。
「その男の子が話してた子？」
「うん」
彼女が女の人に応えたと思ったら「私のお母さん」って俺に言った。
また慌てて頭を下げる。何か俺、ずっと慌ててない？
「お話するんでしょ？早くお家入って貰いなさい」
「はい」
彼女は「ね？」って笑った。
「じゃあ...お邪魔します」
俺は、何かペコペコしながら玄関で靴を脱いだ。
リビングに通されて、ソファに腰掛ける。
女の子の家に入ったのは初めてじゃないんだけど、やっぱりソワソワする。
ソワソワしながら、部屋を見渡してみる。綺麗。
そこに彼女が、コーヒーカップの乗ったお盆を持って来た。
俺の前にあるローテーブルにカップを置いて、彼女は俺の斜向かいに座る。
「早速、レッスンの事なんだけどね？」
「あっ、うん！」
コーヒーを飲もうとしてたんだけど、やめて姿勢を正す。
「お母さんに許可貰えたから、教えてあげられるよ」
「うっそ！？ホント？やった！」
思った言葉が全部口から飛び出て来て自分でもビックリして両手で口を塞ぐ。もう遅いけど。
そんな俺を見て、やっぱり彼女は笑ってる。
「レッスンは、日曜日で良い？」
「うん！日曜日で大丈夫！」
「じゃあ、毎週日曜日の13時って事にしようか」
「うん、分かった！.....あっ！！」
そうだ、めちゃくちゃ基本的な事を忘れてた...。
「...レッスン料...って...」
うわー！どうする？
短期バイト入れる？
こんな事なら、こないだ辞めたガソリンスタンドのバイト辞めなきゃ良かった！
「お月謝なら、いらないよ？」
「...えっ？」
「だって、私がレッスンの練習をさせて貰うんだから」
「え、え、でも...」
「あ、そうだ。自己紹介してなかったよね」
あ...話逸らされた。
本当に良いのかな...。
って...自己紹介！！！
「浅雛Aです」
Aちゃん...
Aちゃんってゆーんだ...！
「今、大学3年生」
え...歳上っ！？
歳上っ！？
「アナタは高校生だよね？」
「え...何で知ってるの？」
「初めて会った時、制服だったもん」
最初から俺は、歳下として見られてたんだ...
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2017年12月18日 23時
