Laundry【ars K.N】 (ページ24)

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シページ24

「オレが彼女にしたい子は、Aだよ」

嘘みたいだ。

「何で気付かなかったの？結構オレ、好きオーラ出してなかった？」

だって、好きになって貰えるなんて思っても無かった。

「A」
「...はい...」

背中に回ってるカズの手が、トントンとリズムをとる。

「好きだよ」

高そうなスーツが、私の涙で汚れてしまう。

何なら鼻水だって出てるんじゃないか？

焦って離れようとするんだけど、カズが離してくれない。

「ちょ...！ジタバタすんな！」
「だって、スーツ汚れるー...」
「いくらでも汚せば良いだろうが！」
「弁償できないー...」
「スーツなんかよりAが大事なの！分かんないの！？」

叱るような口調で言われたのに、すっごい嬉しくて膝から崩れ落ちそうになった。

そんな私の腰を支えて、カズが笑う。

「オレ喋ってるだけなのに腰砕けちゃうって、夜はAどうなんの？死んじゃうの？」
「...はっ！？」
「ごめんてー、下ネタごめんてー！」

はい、座って。ってパイプ椅子に座らされる。

「カズ...アメリカは...？」
「え？行って来たじゃん」
「私はてっきり...ずーっと帰って来なくなっちゃうんだとばっかり...」
「オレ、そんなコト言った？」
「でも、帰って来るとも言わなかった！」

向かい合わせにした椅子に座ってるカズの膝をペチンと叩くと

「いて」って、片目を閉じフっと微笑む。

「寂しかったの？」
「...だって、あんな別れ方したら...」

『忘れんな』なんて言われたら、もう二度と会えないのかな...って思ったって仕方無いと思う。

「あーでもしとかなきゃお前、オレの留守中また元カレに言い寄られたら次こそフラフラ行っちゃうんじゃねぇかと思って」
「......」
「ツバつけちゃいましたー」
「...ツバ...」

そう言えば、唇を舐められた...。

思い出して、顔が赤くなったのが自分でも分かる。

「でもすぐ仕事で相手出来なくなるから、無責任だなーと思って」

もう会えないのにあんなコトするから無責任なのかと思った...。

何もかも全部、カズが考えてた事と私が考えてた事が見事にズレててちょっと笑えた。

「A、そろそろ返事して貰いたいんだけど」
「返事...？」
「おいおい！オレ、一世一代の告白したろうが！」

───オレと『最後のひとつ』の恋、してくれる？───

思い出したら、また泣けて来て

「じゃ、その涙で恋人契約ね」

何かキザな事言ったカズが、私の目に口付ける。