Laundry【ars K.N】 (ページ13)

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テページ13

上体を起こしパイプ椅子の背もたれに脱力して凭れたカズが、中断してたらしいゲームを再開する。

「私は...悪くなかったのかなぁ...」

それは、ほとんど独り言だった。
カズに聞いて欲しいと思った訳でも無くて。

ずっと、『ゲーマーなんて！クソだ！』って、あの別れはそれが原因なんだ！って思うようにしてた。
だけど、本当は自分に原因があったんじゃないか...って心の奥では考えてた。
元カレの言うように、ゲーム程度の事を許せなかった私の心が狭かったんじゃないか...って。

本当は何度も考えてたんだ。

私が悪かったんじゃないの？って。

「Aは悪くないよ」

返事を期待してた訳じゃない。

なのに、カズは私がずっと欲しかった言葉を簡単にくれた。
それは何の責任も無い、この距離感だからなのかもしれない。
それでも私の心は、その言葉に軽くして貰える。

「...そうかな」
「うん。悪くねぇよ、普通でしょ。オンナノコが彼氏にゲームより自分を相手して欲しいって思うのは」

自分だってゲームしてるのに、サラリとそんな事を言う。

「ついでに言えば、ゲームも悪くないよ？」
「え？」
「だって、オレはゲームしてたって人の話は聞いてるし会話も出来る」
「うん」
「だから、ゲームに罪は無い。でしょ？」

チラッとわたしを見たカズが、ちょっと悪戯っ子みたいな顔して笑った。

思わず、「うん」って頷いて私も笑ってしまう。

「ま、しいて悪者を作るとすればー...」
「うん」
「人の元カレを悪く言いたくは無いけど、その『元カレ』だな」
「フフッ」
「そーゆー奴が居るから、ゲーマーが誤解されんのよ」

たしかに。
私はもうゲーム好きな人を『ゲームだけしか見えてない部類の人間』一括りにしてしまってた。

「大切な子を疎かにするよーな奴にはゲーマー名乗って欲しくないね」
「じゃあカズは？」
「オレ？オレは可愛がって満足させてあげられるよ、オンナノコのコト」
「言い方...」

若干のえろい言い方にプッと吹き出すと「なぁに想像してんのよ、スケベ」って肩をグイって押された。

「ま、もしくはそんなオトコと出会っちゃったAの運が悪かったね」
「アハッ！そんなオトコって、一応元カレなんですけどー」
「だから最初に『人の元カレ悪く言いたくないけど』ってお断りは入れたでしょ？」

ククク、と笑うカズに

偶然ランドリーで出会えた事は、すっごく運が良かったと思うよ、って

心の中だけで、コッソリ言った。