Clear‐Crane‐Crime 7th【ars M.A】 (ページ5)

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私もビールを頼んで乾杯をする。

雅紀くんが美味しそうに喉にビールを流し込んでる。

「花火、綺麗だったね」
「え？雅紀くんも見たの？」
「うん。ね、潤くん」

潤さんが頷き

「外に出ると、ビルとビルの隙間に少しだけ見えるんですよ」

そう、教えてくれた。

「そろそろ終わりかなー？って時に外に出て、クライマックスだけ見た」
「そうだったんだ」
「Aちゃんも見てるかなー？って」

チラッとこっちに向けられる視線に、いつも以上にドキドキしてしまうのはやっぱり浴衣のせいなのかな...。

「潤くん、ビールー！」

そこに響く、少年みたいな声。
この声は...

「あ、でも子」

二宮さんが、例に漏れず浴衣姿で私の隣にドカッと座った。

「いらっしゃい、ニノ。浴衣、似合ってるよ」
「当然でしょうよ。オレはここに居る誰よりも和顔なんだから」
「まぁね」
「醤油顔の美少年と呼んでくれて構わんよ」

チロリと私を見る。

「美少年...」
「何よ」
「少年とゆー年齢では...」

声は確かに少年だし、姿もまぁ...いや、いくら普通よりは若く見えてもやっぱり少年では無い。

「生意気！でも子。相葉さん、ちゃんと躾しといて」

何故かプリプリしながら、二宮さんはビールを飲んだ。

「躾？」

雅紀くんがカウンターに身を乗り出すような体勢になって、私の横の二宮さんを見る。

「躾って、調教しろって事？」

ブフッ！と、二宮さんがビールを吹いた。
もちろん私も、目の玉出そうになった。

「誰がお前らの性生活の話してんだよ！」
「だって、ニノが躾しろって言うから」
「何で『躾＝調教』になってんだよ！」
「ニノが言うと、何か下ネタに聞こえちゃうんだもん」

ふふん、って雅紀くんが笑う。
二宮さんは「はぁ？」って軽く笑い私を見た。

「でも子、お前らってそーゆーの好きなの？」
「ちっ...違うに決まってるでしょ！？ねぇ、雅紀くん...」

雅紀くんに助けを求めたら、彼は「調教なんてする訳無いでしょ？」って私の肩に覆い被さるように後ろから抱き着いて来た。

「雅紀くん...えっと...」

いくらカウンターには私達以外は居ないって言っても、トイレに来る人は居るし

人気者のDJマサキさんがこんな事をしてるのはマズイ気が...

「雅紀、彼女できたのバレちゃうよ？」

潤さんが言うから、心の中で「そうそう！」って同意してると

「他の女の子なんて、いらないし」

耳元で聴こえた声に、鼓膜が震える。