Clear‐Crane‐Crime 7th【ars M.A】 (ページ4)

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214.浴衣deナイト。ページ4

1時間程、花火が夜空を飾り続け

息も出来ない程のクライマックスは、一帯を昼間のように明るくした。

辺りが静まり、次の瞬間には河川敷から大きな歓声と拍手。
テラスでも、みんなが拍手してる。

その内、それぞれソファに座ったり、立ったまま談笑したり、早々に帰ったり、「ここからが本番！」なんて言ってる男子社員も居たりして

私も、スイカを一切れ食べてから帰る支度を始めた。

「あ、Aもう行く？」
「はい。今日はお招きありがとうございました！」
「いえいえ」

玄関の方に向かうと、櫻井さんは出迎えてくれたのと同じように一緒に玄関まで来てお見送りをしてくれる。

「では、失礼します。おじゃましました」
「雅紀によろしく」
「はい、伝えておきます」

ペコッと頭を下げると、彼はヒラヒラと手を振った。
部屋の奥から、智さんの「誰かー、ビールちょーだーい」って声が聞こえた。

下駄で精一杯の早足。
何駅か電車に乗って、MIYABI最寄りで降りる。

駅のトイレで浴衣が着崩れてないかチェックして、メイクも軽く直す。

MIYABIのあるビルに着くと、浴衣の人達が中から出て来た。
階段横の壁にはミヤビナイトの時と同じように『浴衣night』と書かれたフライヤーが何枚か並べて貼られてる。

扉を開けると「いらっしゃいませー！」と増田くんが浴衣でお出迎え。
赤い髪、臙脂色の浴衣に編上げブーツを合わせてて独特なのによく似合う。

「こんばんは」
「もう、来られてますよ！」
「え？」
「やだなぁ、マサキさんですよ！」

何か急に恥ずかしい。

増田くんに案内されて、いつものようにカウンター席に通される。

「いらっしゃいませ」

カウンターの中から、潤さんが微笑む。
もちろん、彼も白い浴衣で髪はオールバックに撫で付けてある。

白い浴衣って、似合わない人だとちょっと死装束みたいにもなっちゃうのに潤さんには生気がビンビンある。
むしろ、色気もムンムン。

その色気モンスター潤さんが、チラリと視線をカウンターの外に流す。

「おかえり」

そこには、潤さんにも負けない色気(贔屓目もあるかもだけど)の雅紀くんが座ってる。

「ただいま...」

何かちょっと緊張しながら隣に座ると、ポンッと頭に手を乗せられた。

「1杯目、どうします？」

潤さんに訊かれて、ふと雅紀くんを見るとその手元にはお水があって

「ビール！」
「雅紀、Aさんが来るの待ってたもんね」

そんな会話にキュンとする。