9-10.車内にて ページ10
「そう思って当然だ」
「そっか」
「お前は遠慮しすぎる」
剣城くんは安心したような表情を見せた。強張っていた肩も落とされる。
「もっと怒っていい」
「そうする」
「ああ」
彼はやっと笑った。
＿＿今なら。聞いていいかもしれない。
一応は噂と関係しているし。この時の私は少しばかり考え方が短絡的で、つい口をついて出てしまった。私の頭の隅をずっと占拠していたことだ。
「この前、教室で話しかけてきた子たちとは仲良いの？」
彼のことを呼び捨てで呼んでいた二人のことだ。
剣城くんは一瞬不思議そうな顔をしたあと、「一年の時同じクラスだった」と話してくれた。
「どうしてそんなこと＿＿」
その時、保健室の扉が開く音がして、続いて保健室の先生の声と円堂監督の声が聞こえた。
剣城くんは立ち上がって床に置いていたスポーツバッグを持ち上げる。
「またな。今日はしっかり休め」
「うん。また明日」
剣城くんと入れ違いになる形で保健室の先生が姿を見せる。帰る前にもう一度体温を測っておいたはうがいいだろうということで、体温計を手渡された。
「荷物は空野さんが持ってきてくれたからね」
「あとでお礼を言っておきます」
体温は平熱近くまで下がっていた。
.
円堂監督の車に乗せてもらうのはこれで二度目だ。一度目は円堂監督の家にお邪魔して、夕食をごちそうになった帰り。思い出せば少しだけ舌がしびれた。
「体調はどうだ？」
円堂監督は目線を前に向けたまま言った。
「大丈夫です。すみません。明日の練習は必ず出ます」
「ああ、みんな待ってるぞ」
車内に音楽やラジオなどは流れておらず、静かだった。夜が近い稲妻町は、帰宅ラッシュを終え静寂に包まれつつある。
この町に来てからまだ半年も経っていないのに、ずいぶん住み慣れたものだ。学校近くの商店街、駅、河川敷、鉄塔。次の休みの日は、鉄塔広場に遊びに行ってもいいかもしれない。なんだかんだで一度も足を踏み入れていないのだ。
「雷門には慣れたか？」
円堂監督がぽつりと呟いた。
街灯がちらちらとその横顔を照らす。
「はい」
「なら良かった。お前がいると、天馬たちのいい刺激になるみたいだ」
「そ、そうですか……？」
「ああ。例えば、天馬が頑張ってたら、自分も頑張ろうと思えるだろ？」
「はい」
「向こうも同じってことだ」
監督は、太陽みたいににかっと笑った。
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春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました！ (2021年3月6日 19時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます！ 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです！ (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年2月20日 21時
