9-7.思わぬ影響 ページ7
「おい」
低い声で呼ばれ、ハッとして顔を上げる。剣城くんが不機嫌そうな顔でこちらを見下ろしていた。威圧感が凄まじく、思わず泣きそうになる。
今は部活の休憩時間で、みんなはドリンクやタオルを手にフィールドに腰を下ろしている。
「体調が優れないのか？」
「え……？」
てっきり注意されるものだと思っていたから拍子抜けしてしまった。頭にかけていたタオルの端を握りしめようとすると、力が入らず震えただけで終わった。今朝からずっとこうだ。
「呼吸が苦しそうだ。気付いてないのか？」
剣城くんは「触るぞ」と言って、私の額に手の甲を当てた。彼のほうがわずかに体温が低いようだ。彼の眉間にシワがよる。
「熱いぞ」
「そう……？」
「熱があるんじゃないのか」
「わからない……」
今朝、女子グループが話しているのを聞いてからずっとこんな調子だった。熱が出ているとは知らなかった。考えすぎたゆえの知恵熱かもしれない。
葵ちゃんが私たちのやりとりを聞いていたのか、救急箱から体温計を取り出した。渡されるままに脇に挟むと、数秒で結果が出た。平熱を上回っている。
「休むか、帰るかしたほうがいいね」
「迎え呼べるか」
「うーん……」
答えに困っていると、円堂監督が「部活が終わったあとなら俺が送って行けるぞ」と言っているのが聞こえた。
「じゃあそれまで保健室で休もう」
葵ちゃんが私の身体を支えながら、私を立たせた。
.
「面目ない……」
「しっかり休んで早いうちに治しちゃお」
葵ちゃんは保健室の先生から氷嚢を受け取り、私の額に乗せた。冷凍庫から出したばかりの氷がごろごろと入っている。保健室のベッドはシーツが少し固い。
「夏風邪かな。どこかでもらってきた？」
「ううん……たぶん知恵熱みたいなものだと思う」
「知恵熱？」
葵ちゃんが不思議そうな顔をして聞き返してきたが、熱の原因が噂というのも情けない話だったので頷くだけに留めておいた。
「しばらくいるから、何かあったら呼んでね」
「うん。ありがとう」
私の返事を聞き、葵ちゃんはベッドを囲むカーテンを閉めてその場を離れて行った。
本当にただの知恵熱なのだと思う。今朝から色々考えすぎたのが、きっと今になって身体に影響してきたのだ。
休んでいる暇などないというのに。悔しくて握った拳は、やはり震えていた。
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春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました！ (2021年3月6日 19時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます！ 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです！ (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年2月20日 21時
