9-30.力を合わせて ページ30
今度こそ比喩ではなく、白竜くんのシュートによってランスロットの甲冑が歪んだ。白竜くんの放ったシュートは、未だ剣城くんの胸で勢いを削ぐことはない。
剣城くんの足が芝を滑る。＿＿止められない。でも、今、追加点を入れられてしまったら。残り時間はもう＿＿
私は急いで剣城くんの後ろに回り、彼の背中を全身で押し返すようにして支えた。シュートの威力に吹き飛ばされそうになり、目も開けていられない。
「A＿＿」
剣城くんが戸惑ったような声を上げる。
「負けられないから……！」
みんな同じだ。剣城くんと白竜くんはライバルかもしれない。でもこれは、二人だけの試合ではないのだ。聖堂山と、雷門中の試合だから。＿＿仲間のピンチに手を貸さなくてどうする！
ビリビリと肌が焼けるように熱い。
ふいに押し返す力が強まった気がして目を開けると、信助くんと狩屋くんが私と同様に剣城くんの背中を支えていた。
「もうシュートは入れさせない！」
「押し返せーーっ！」
そしてついに、私たちは白竜くんのシュートを弾き返した。
それとほぼ同時に、試合終了を告げるホイッスルが鳴る。
「ここで試合終了ーーー！！ 雷門の逆転勝利ーー！！ 決勝戦に駒を進めました！！」
一気に力が抜けたことにより、その場に固まっていた全員が地面に倒れる。私は剣城くんの下敷きになり、思わず「うっ」と呻き声が漏れた。
「悪い」
剣城くんがいつもより緩慢な動きで立ち上がった。それもそうだろう。みんな体力は限界を超えているはずだ。
それに、いま一番つらいのは全員の下敷きになった狩屋くんだ。
「狩屋くん、大丈夫？」
「なんとか」
狩屋くんはユニフォームについた土を払いながら立ち上がった。
溢れる歓声が私たちを包んでいた。雷門は聖堂山に勝ったのだ。＿＿次は決勝だ。
目頭が熱くなる。きゅっと唇を引き締めて耐えた。
やっとここまで来たのだ。
.
.
.
「決勝戦の相手が決まりました！」
葵ちゃんがタブレットを持ってみんなの前に立った。その画面には、決勝戦の相手が映し出されているのだろう。
はやる心臓を抑えながら、葵ちゃんの言葉を待つ。
「決勝戦の相手は、実幡中です！」
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９．『波立つ湖面』(了)
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春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました！ (2021年3月6日 19時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます！ 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです！ (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2021年2月20日 21時
