9-27.臨機応変に ページ27
「Aー!」
円堂監督に呼ばれベンチの近くに行くと、葵ちゃんや輝くんたちが心配そうな表情でこちらを見ていた。
「下がらなくて平気か?」
「大丈夫です」
そう返すと、円堂監督はおや、という顔をした。私の返事がそんなに意外だったのだろうか。
「わかった。だが無茶するな」
「わかりました!」
元気よく返事をして、自分の位置に戻る。不思議と、身体にかかった負担が軽いように感じた。
フィールドに戻ってきた私を見て、剣城くんが険しい表情を見せる。
「大丈夫なのか」
「うん、大丈夫だよ」
剣城くんは納得していない表情だけれど、こればっかりは本当に大丈夫なのだ。
「無理だなって思ったら、そう言うね」
「ああ、わかった」
試合再開。ボールを持ったのは狩屋くんだ。
「天馬くん!」
「うん!」
短いパスでボールを前線に繋ぐ。追いつかれないように、意識を前や横、後ろと全体的に向ける。そうしないとあっという間に相手選手に囲まれてしまうのだ。
「魔神ペガサスアーク!」
ゴール前まで上がって、再度パスを受け取った天馬くんが化身を発動する。相手ディフェンスがブロック技を出す前に、化身の力で押し進む作戦だ。
天馬くんは高く飛び上がり、シュートの体勢を取った。相手キーパーはフェンス・オブ・ガイアの体勢だ。
天馬くんは少しだけ迷うような表情を見せた。貴重なシュートチャンスだから、必ず決められる方法がないか考えたのだろうか。
すると、ふと天馬くんはフィールドを一瞥して、にやりと笑ったのだ。彼はなぜか振り返り、私に向かってパスを出した。
「そこから打って!」
私は相手ゴールから遠い位置にいる。そして、私と相手ゴールのその間には、化身を発動した天馬くん。
私は先程と同じようにシャボン玉を膨らませた。理屈ではなく身体が覚えている。
「レインボーバブルショット!」
七色の光が相手ゴールに__いいや、その前にいる天馬くんに向かって伸びる。
天馬くんはボールと並走し、私のシュートに勢いを加えるために、その右足を叩き込んだ。
「行っけぇーーーっ!!」
「Aと松風のシュートチェイン!! どうなるーーーっ!」
相手キーパーはフェンス・オブ・ガイアを繰り出し、シュートを跳ね除けんと岩の壁を作り出す。
「ううっ、この……!」
相手キーパーの表情が、苦しげに歪む。そして次の瞬間、シュートは岩の壁を粉砕していた。
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春間(プロフ) - ミリアさん» 申し訳ないのですが、青天以外の小説を執筆する予定はありませんので、今回はご遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました! (2021年3月6日 19時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 一緒に合作しませんか? (2021年3月6日 19時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます! 実はイナイレ以外のアニメにあまり詳しくなく……ちゃんと全話観たのはギャグマンガ日和やここはグリーン・ウッドです! (2021年3月6日 16時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月6日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春間 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時:2021年2月20日 21時