4-19.届かぬ光 ページ19
自分の呼吸音がやけに大きく聞こえる。
頭頂部に日差しが当たって、このまま火がつくのではないかと思った。
「白恋中の固いディフェンスに、雷門中は苦戦しているようです！」
全国大会は地区予選とは違う。当たり前のことだし覚悟していたつもりだったが、足りなかったようだ。私はいつも、現実を甘く見ている。
ＭＦで入っていた時と比べて、ＦＷはディフェンスに参加するのが難しい。攻撃の際に最前線まで上がってしまうので、いざカウンターをされると自陣まで戻るのに時間がかかる。もし自分のミスでボールを奪われたとしても、後ろにいる仲間たちに任せるしかない。
「なみのりピエロ！」
浜野先輩のドリブル技が決まり、雷門が少しずつ攻め上がっていく。
「A！」
ゴール手前で神童先輩からパスを受ける。倉間先輩が空いていないか目をやったが、マークにつかれていた。
せっかくここまで運んだボールを戻すのは得策ではない。打つしかないのは明白だが、倉間先輩の必殺シュートが止められるなら私のノーマルシュートは論外だ。
一か八か、やってみるしかない。
ボールを空に向かって高く蹴る。目でそれを追いかけるが、太陽が眩しくて目を開けていられない。
「おっと！？ A選手これはミスキックか！？」
実況の戸惑いの声と周囲のざわつきに背筋に寒気を感じながら、右足で踏み込んで飛び上がった。
「届いて……！」
あと少しでボールに届く、というところで、目の前がふっと暗くなった。太陽の光が遮られたのだとわかった瞬間に、私の目の前に浮遊している相手選手がにやりと唇の端を吊り上げた。
「させない！」
「あっ……！」
浮いたボールは相手選手のダイレクトパスと化してしまった。
振り返ると、ボールを受け取った白恋の選手に、天馬くんがブロックに入っているのが見えた。
着地に失敗して倒れそうになったのを、地面に両手をついて何とか耐える。汗ばんだ手のひらに細かい砂が張り付いた。
無謀な挑戦だった。
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春間(プロフ) - 桜星。さん» コメントありがとうございます！ 助かります……！ (2021年2月25日 14時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
桜星。 - 4-3「怯え」の三行目、天馬のセリフが「次の試合こと」になっていますが、恐らく「次の試合のこと」ではないでしょうか。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 15148237ac (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - なすびさん» ありがとうございます！ 楽しみにしてくださってとても嬉しいです。頑張ります！！ (2020年8月26日 18時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
なすび(プロフ) - 続編おめでとうございます！剣城くん抜きで試合がどうなるか楽しみです！ (2020年8月26日 16時) (レス) id: c22c2e84dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春真 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月26日 12時
