1-9.吹き抜ける風 ページ9
「松風くん、さっきはごめんね」
「いや、俺の方こそごめん！」
二人して頭を下げているところを、ミーティングルームに残っていた円堂さんと剣城くんが不思議そうな顔で見ていた。
「松風くん、私サッカー好きだよ。嫌いなんかじゃない。それだけ言いたくて……」
みるみるうちに嬉しそうな表情に変わる松風くんに気圧され、言葉が尻すぼみになった。
「良かった！」
花が咲いたような笑顔を浮かべて松風くんは私の手をとる。
「なんで泣いてたか、聞いてもいい？」
「あ……」
やっぱり、そうなるよなと思いながら、握られている手に視線を落とす。松風くんはそんな私を見て慌てて付け足した。
「あっ、無理に話さなくていいよ。
……でもね、サッカーが好きなAさんがつらそうな顔してると、サッカーもつらいと思うんだ」
「サッカーが、つらい？」
サッカーを人のように言う人を初めて見た。驚いて言葉を反復してしまった。
「Aさんが楽しそうにしてたら、きっとサッカーも喜ぶよ！」
松風くんの言葉に、視界の端に映る剣城くんが少し笑った気がした。
サッカーが喜ぶ。
「……サッカーを、友達みたいに言うんだね」
そう言うと松風くんは照れ臭そうに頭をかいた。
松風くんは、ちゃんとサッカーと向き合ってる。自分がサッカーを好きでいるために、サッカーが悲しまないように、一生懸命サッカーをやっている。
私はどうだろう。
あれ以来、サッカーとちゃんと向き合ったことがあっただろうか。
意を決して、私は葵ちゃんと松風くんに向き直った。
「ちゃんと話すね」
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…（ ; ; ）更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました！ (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ！もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります！ (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春間 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月5日 11時
