1-11.サッカーやろうぜ! ページ11
葵ちゃんから渡された17番のユニフォームを着てサッカー棟スタジアムに向かうと、葵ちゃんと円堂さん、ユニフォーム姿の松風くんと剣城くんが待っていた。
「すみません、お待たせしました」
「A、来たな!」
円堂さんはいそいそとグローブを嵌め、ゴールを背に立つ。
「よーし、サッカーやろうぜ!」
「どんどん打ってこい!」と円堂さんはゴールを守る体勢を構えた。
「打ってこい、って……」
シュートなんて打ったことがない。
棒立ちになっている私を見兼ねてか、剣城くんがボールを置き、助走をつけて蹴った。
鋭く放たれたシュートは風を切り、ゴールの左上へ吸い込まれていく__と思われたが、円堂さんは地面を蹴って左手の拳でシュートを弾いた。
「いいシュートだ!」
必殺技を使っていないのに、凄まじい威力だ。
唖然としている私を、剣城くんがくるりと振り返った。打てということだろうか。
先ほど剣城くんがボールを置いたあたりに、同じようにボールを置く。見よう見まねで助走をつけてシュートを打ったが、蹴り込むタイミングがわからない上に、足は地面に引っかかり、ボールは地面を転がった。
円堂さんは「もう一度だ!」と言ってボールを拾ってこちらに投げた。
しかし、さっきのようなシュートを繰り返しても意味がないだろう。まごついていると、剣城くんが私の手からボールを取り、地面に置いた。
「ボールの横に左足がくるように助走を調整しろ。そして右足の__」
剣城くんはしゃがんで、私の右足の内側、親指の付け根あたりを指で軽く押さえた。
「このあたりでボールを蹴る。地面を蹴らないように足に角度をつけるんだ」
言われた通りに助走の距離を調整し、右足の内側でボールを蹴る。今度は足が地面に触れなかった。
ボールは低く放物線を描いたが、ゴールに届く途中で地面に落ちて転がる。
「もっと力いっぱい打ってみろ!」
「はい!」
返ってきたボールを地面に置き、先ほどより右足を素早く振りかざす。
「わっ……」
思い切り蹴ったせいで身体のバランスが崩れ少しふらついたが、ボールは何とか地面に着かずに円堂さんのもとへ届いた。
「いいぞA、その調子だー!」
「ナイスシュート! 飲み込み早いよ!」
松風くんの言葉がお世辞でも嬉しくて頬が緩む。
「そうかな……」
「そうだよ!」
お礼を言いたくて剣城くんに視線を向けてみると、彼は少し口角を上げて頷いた。
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春間(プロフ) - 名無し40482号さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます! 励みになります。 (2020年10月7日 13時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し40482号(プロフ) - とても綺麗で読みやすい小説で、感動しました…( ; ; )更新楽しみにしてます。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: b02fa3353c (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - Ruiさん» ありがとうございます。申し訳ないのですが、占ツクの使い方がよくわかっていないので今回は遠慮させていただきます。コメントありがとうございました! (2020年8月9日 11時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
Rui - 初めましてタイトル凄くいい感じ!もしよかったら好きな作品出来るイベントもし参加出来たら嬉しいです勿論CSS付きも可能です。「 あなたの小説読ませて下さい。」です。 (2020年8月9日 0時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - 充滞さん» ありがとう、頑張ります! (2020年8月7日 19時) (レス) id: e235827dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春間 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時:2020年8月5日 11時