イナイレ乙女ゲーム「転生姫と4人の王子」 (ページ5)

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第5話ページ5

息をするようにTwitterを開くと、コンソメ次郎さんがまたツイートしていた。

［吹雪ルートで攻略しようと思う。吹雪ってカッコいいよね］

そのツイートに添付してある画像を拡大すると、そこには課金の履歴が載っていた。どうやらコンソメ次郎さんはこのゲームでさらに3万円分課金して、有利に攻略を進めようとしているらしい。

「コンソメ次郎さん、お金使いすぎでしょ。フフ」

このゲームでは課金をすると、好感度が上がりやすくなったり、所持金が増えたり、ファッションの幅が広がったりする。しかし課金には限界がないので、私は慎重にしようと思う。それはそうと、コンテンツに貢いでいる人を見るのは実に面白い。コンソメ次郎さんのツイートにコメントを送っておいた。

ゲームを再開すると、真っ暗な中、小さな声で、囁くように声が聞こえてくる。ゆっくりと目を覚ますと、至近距離にいる風丸と目が合った。

「姫、おはようございます」
「っひ！？」
「お目覚めは如何ですか」
「り…良好だよ」
「左様ですか」

爽やかな風丸の声は、朝の雰囲気によく似合う。私は小さく欠伸をし、ベッドから起き上がった。
改めて私はまじまじと風丸と見る。見つめられた彼は少し困ったような顔をして、私を見つめ返した。登場人物との会話があまりにもスムーズすぎて、機械学習の出来に驚かずにはいられなかった。ひと昔前ならば支離滅裂な内容を答えるAIもいたが、今の時代の技術ではそれも全て解決している。技術に脱帽である。それに、映像も綺麗で世界観に没頭しやすい。音声や環境音、イナイレへのリスペクト、どれを取っても完璧だ。このゲームが人気なのも当然頷ける。

「そういえば、執事の剣城くんはどこにいるの？」
「来客の準備をしております。本日はパーティーがございますので」
「パーティー？」
「はい。半年に一度行われる5大国の会合・通称『稲妻サミット』のことです」
「そんなものがあるんだ。パーティーは何時からあるの？」
「夜6時から開催されます。姫にも勿論ご参加頂きますよ」
「え…ええ。急に？でも私、相応しい服とか持ってないし」
「何を仰いますか。ドレスならこちらに沢山ございます」

すると、クローゼットから多くのドレスが出てきた。純白のドレス、シックな黒のドレス、深みのある青のドレス。全部で50種類を超えるドレスがそこにはあった。

「すごい…」
「後程ごゆっくりお選びくださいませ」

執事の風丸は爽やかに微笑んだ。