イナイレ乙女ゲーム「転生姫と4人の王子」 (ページ4)

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第4話ページ4

翌朝、私は日常に戻される。出勤したらまずその日の受け持ち患者を確認し、その後夜勤看護師から申し送りを受ける。点滴用意でダブルチェックをし、患者の朝の検温をしに行く。さまざまな業務を並行して臨機応変に対応しなくてはならない。

「佐々木さん、目貸してもらっていいですか？」
「はい」
「実施日XX月XX日」
「実施日XX月XX日」
「セファゾリンナトリウム1g」
「セファゾリンナトリウム1g」
「確認OKです。ありがとうございます」
「いえ」

今日は比較的病棟が落ち着いているが、昨日は凄まじかった。新規の入院患者が多く、その対応やオペ出し対応を同時並行するのは流石に骨が折れた。しかしそれが普通である。看護師の業務は多忙を極める。昨日は昼ご飯を食べる時間がほぼなかったが、今日は時間を確保できそうだ。と思いきや、午後から今までの落ち着きが嘘のように変わり、多忙になる。

性格の悪い上司の看護師に詰められることもあれば、患者から不平を言われることもある。それも仕事の一部として割り切るしかない。また、医師から指示を受け、その都度対応をした。終業時間後も1時間残業をし、その日は退勤した。

「つ、疲れたー。」

ぼんやりと上司に詰められた時のことを思い出し、さらにストレスを溜める。根拠が大事なのはわかるが、粗探しをしないでほしい。そんなことを思いながら職員玄関へと向かった。その時、病院の階段で人と肩をぶつけてしまった。

「っ、！す、すみません」
「すみません。怪我はないですか」

顔を上げて見上げると、その人はどこか雰囲気が豪炎寺修也に似ていた。私は思わず目をぱちくりさせる。呆気に取られた後、ハッと我に返って言葉を返した。彼は紺色のスクラブとドクターコートを着ているから、医師だろう。

「あ、大丈夫です。先生こそお怪我はありませんか」
「僕も大丈夫です。あなたに怪我がなかったようでよかった。では」

それだけの会話だった。だが、彼のことがとても印象に残った。豪炎寺に似ているからだろうか。それとも、どこか惹かれる要素があったのかもしれない。

「...まあいいや。早く帰ろう」

彼のことを考えるのをやめて、私は意識を切り替えた。早く帰ってご飯を作って食べて、お風呂に入って、イナイレのゲームをしてから寝よう。それに、数日後には当直が控えている。前日はちゃんと寝なければ。

その日出会った彼と、まさかイナイレを通じて既に知り合っていたとはこの時思いもしなかった。