49. 不都合な事態 ページ12
チャイムが鳴っても、京介はその場から動こうとしなかった。ただじっと、私を背から抱きしめたままの状態で静止していた。だが、もう一度チャイムが鳴ると彼は舌打ちをして立ち上がり、「誰だよ」と呟きながら機嫌が悪そうに玄関へと向かった。
私はその場でしばらく呆然としていたが、開けられたドアの向こう側から声が聞こえた。京介の困惑する声と、女子の声。彼らの会話に耳を攲てながら、玄関の見える位置までそっと移動した。壁に背をつけながらその様子を見ると、そこには私がいた。この世界線の、長い髪の私だと瞬時に理解した。これはマズいのでは。
「...？どういうことだ..」
「京ちゃん、探してもいないんだもん。やっぱり家にいた」
「いや、家に」
「ゲームセンターの前で待ち合わせするって約束したじゃん。忘れたの？」
ヤバい。これはヤバいやつだ。
まさかこのタイミングでこの世界線の私が現れるとは。というか、あの私は可愛げがあるな。女子らしい女子といった印象だ。私が男子であれば、あんな幼なじみが欲しかった。いや、今はそんなことはどうでもいい。今すぐこの状況から逃れる方法を探さなくては。
これは非常にマズい。このまま彼らと遭遇してしまうと、同じ人間が二人もいるというビックリな事態が起こってしまう。所謂ドッペルゲンガーのような恐怖現象が起きてしまう。
この家から今すぐに出なければ。
そう決意した私は京介の部屋にあるガラス窓を開け、靴を履いていない状態でそのまま裏庭へと出た。芝生の上を必死に駆け、石垣を飛び越え、歩道を突っ走る。散歩している犬と衝突しそうになったが、なんとか避けれた。そのまま靴下のみ履いた状態で駆ける。どこに向かうかは決めていないが、とにかく剣城家から遠い位置に移動したい。
いくら普段ランニングをしているからといえども急に走って疲れない訳がなく、途中で体力が尽きて中腰になった。
「はぁ〜〜っ、はぁ、は、はっ...」
危なかった。あのまま硬直していたら、不審者として問い詰められていただろう。そうでなくても、面倒な事態に発展したに違いない。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
