１６６：そんなに立派な人間ではないけれど ページ16
.
ウォヌオッパの 乾杯 という声と共に、握っていたジョッキをぶつけ合う。前と同様に、彼はビールを、私はオレンジジュースを頼んだ。
W『 外暑かったからビールがめちゃくちゃ美味く感じる 』
「 …だから、おじさんみたいなこと言わないでくださいってば 」
W『 えっ、今のおじさんっぽかった？』
首を傾げたオッパと、目を合わせて笑う。…傍から見たらカップルに見えるのかな なんて1人で考えて、勝手に恥ずかしくなってしまった。
W『 …でも、偉いね 』
オッパが唐突にそう言ったのは、運ばれてきた料理を食べながらおしゃべりをしていた時だった。話がひと段落したタイミングでのそれの意味がわからなくて えっ？という声が出た。
W『 成人してないからお酒呑まないって、そういうのちゃんと守ってて偉いなあと思ってさ 』
「 …そうですか…？」
W『 うん。それに韓国の歳の数え方だと成人してるんだし、呑もうと思えば呑めるでしょ 』
確かに、ミンギュくんもソラもお酒呑むの好きだっていつか言ってたけど……。
W『 …それに、成人してないのに呑んじゃうって、若いから出来ることだよ。俺の友達にも、結構そういう奴いたし 』
「 …………オッパもですか…？」
上目遣いに見ると、オッパは どうかな と意味深に口角を上げた。…うわ、どっちなんだ、これ…。
「 …守ってるとか偉いとかじゃなくて、ただ単にビビってるだけですよ 」
ジュースを1口飲み、小さくそう吐き出す。ビビってる？と目の前で不思議そうな表情を浮かべたオッパに はい と頷く。
「 ……未成年なのにお店でお酒呑んだり、コンビニで買ったりとか…もしバレたらって思ったら、怖くて。それでしてないだけですよ、私は 」
W『 …そっか 』
「 はい。だから、オッパが言うように別に偉くなんかないんです、私は 」
W『 …………そうかな 』
「 ………え？」
W『 そうだとしても、Aが良い子だっていうのは、ほんとのことでしょ 』
頬杖をつきこちらを見るオッパのその表情は、ひどく優しいものだった。お酒に弱いわけではないらしい彼は、まだ酔っていないんだろう。……てことは、素面でこんなこと言ってるの……？心臓に悪すぎるでしょ……。
ありがとうございます… と返した私の声は、情けないことに小さくて掠れていた。誤魔化すように、汗をかいたジョッキを指で撫でる。
「 ………そうやって人のこと褒められるオッパも、十分素敵じゃないですか… 」
.
１６７：考えただけで、思い出しただけで→←１６５：思い出のひとつを消せるわけがない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 818人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アオコ(プロフ) - 千笑さん» コメントありがとうございます！もう文面から作品を楽しんで頂けたのかなっていうのが伝わってきてそれだけで私は幸せです…！私も10時10分に返信すれば良かったって今後悔してます笑（TMI！！） (2021年8月28日 21時) (
レス) id: 5d8cfe873d (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 全く関係ないんですが、今書いてる時間が10時10分で運命感じてます笑笑 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 前作も合わせて、とても素敵な物語でした!私はずっとウォヌ派でした（笑）。前作のホシさん存在と、星に願う。と言うタイトルをかけたのかなあって思ってましたが、予想は外れてました（笑笑）。楽しかったです!ありがとうございます！ (2021年8月27日 10時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオコ | 作成日時：2021年1月24日 20時
