通訳ヌナと…【Jungkook：6】

通訳 -Jungkook- ページ7

夏だから寒くはないけど、
あいにくの天気。

小雨が降る中でリハーサルをしていたら、
機材トラブルはあるし、
変更もあるし、
その中で、
ダンサーの人が１人滑ってしまい、
足を負傷してしまったようで。

ざわつくステージの上。
リハーサルは一旦中止になり、
多くの曲でバックダンサーをしてくれてる人だけに、
どうなるのかな？って心配してたんだけど…

なぜかいきなりヌナがステージの上に上がって来て、
怪我したダンサーの人と、
トレーナーのヒョン達のそばに来て…

なんでヌナが？

身体が自然と動いて、
理由を知るべく、
近づこうとしていたら…

聞こえてきた話し声。


「病院かな…」
「あいつの担当どうすんだろ？」
「でもほら、動かすことはできるから捻挫じゃねぇの？」

病院…？

「でも良かったじゃん」

何が？

「たしかに」
「内心絶対喜んでるって」

何が？

「だってAさんが付き添ってくれんだよ？あいつほら、可愛いっていつも言ってたじゃん」


……はぁ？


「ちょっとどいて下さい」

年上とか関係なく、
目の前にいる人を掻き分けてヌナに近づいた。


「大丈夫ですか？」

足を伸ばし、
座り込むダンサーの人に声をかけたけど、
心配するのは言葉だけで、
どんな人なのか…見定めるように見た。

「あ、はい。大丈夫です。すみません」

「今から病院に行くんですか？」

「本人は大丈夫って言ってるけど、骨が折れてても怖いし、だから…とりあえずゼヒョンの所には誰か入って、リハーサルは続けよう」

どう答えるのか？
どんな表情をするのか？

ダンサーの人の顔を見ながら聞いたのに、
そんな僕の心なんて当然知らず、
答えたのはトレーナーのヒョンだった。

怪我をしてるのはゼヒョン…ヒョン。
ちょうど１年前のツアーからダンサーとして踊ってくれてて、去年は僕のソロ曲でも踊ってくれてて…

年上だけど…

そんなの関係ない。

可愛い？

ヌナの何を知ってるの？
たかがたった半年のヌナしか知らないくせに。

喜ぶ？

もしそれが本当なら、
ふざけんな。


「で、Aヌナが通訳で抜けるんですか？」

「うん。病院に同行してもらおうと思って」

「それって…Aヌナ以外じゃダメなんですか？」

そう口にすると、
驚いたのかなんなのか、
何か言いたげにヌナが動いたのが目に入った。

どうせなんでそんなことを言うんだ？
って思ってるんでしょ？

僕がどんな気持ちなのかも知らないくせに。

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