通訳ヌナと…【Jungkook：6】

彼女 -You- ページ15

ちょっとだけ…と言っておきながら、
本当に少し、
邪魔にならないよう、
身体を寄せる程度にしようと思ってたのに。

グクがその…
意地悪なことばっか言ってくるから、
どうぞって言われた瞬間、
勢いよく抱きついてしまった。

背中にぴたりとくっついた身体。
後ろからグクの肩に頭を預けると、
鼻先にグクの毛先が触れて…

首筋から香ってくるグクの匂い。

まるで全身で感じるよう、
いつの間にか閉じていた目。

全身がじわっと溶けるような感覚。


「ヌナ…ちょっとじゃないですね」

グクのその声にハッと目を開けて、
少しだけ身体を離した。

「ごめん…なさい」

「もういいんですか？」

「え？」

「もう満足できましたか？」

それは…
どういう意味だろう？

もうやめて欲しいのかな？

「グク？」

「はい」

「もし…まだだって言ったら…もう少ししててもいいの？」

そう聞くも、
また返って来なくなったグクの返事。

「グク？」

「どうぞ」

いつもと違うグク。

けど、その真意を聞くのが怖くて出来なくて、
もう少しだけ…と、
また身体をくっつけた。


ダメなのに。

ちゃんと話をするために、
絡まってしまったものを解くために来たのに。


足りない。

するだけじゃなく、
グクからもギュッと抱きしめて欲しいのに。

少しだけ顔を動かして、
唇に触れたグクの首筋。

唇の先に伝わるグクの体温。

気づいたらキスをするように、
軽く…少しだけ首筋に吸い付いていた。

限界。
もう何度も思ったけど。

本当にもう限界。

抱きしめるだけじゃなく、
グクにもして欲しいのに…

けどグクにして欲しいとは言えなくて、
だから足りないその気持ちを埋めるよう、
求めることが抑えられなくて。


「ヌナ」

「ごめんっ…私…」

こんなことしてる場合じゃないのはわかってる。
でも抑えられなくて。

もう恥ずかしいし、
泣きそうで。

「じゃなくて、するならもっとちゃんとしてくれません？」

「してもいいの？」

予想外の言葉。

やめて、じゃなく…
もっとしてもいいの？

「なんでそんなこと聞くんです？ヌナは僕の彼女でしょう？」

彼女…

「ゲームやめますから。だから…前に来て、ちゃんとして下さい」

肩に置いていた手。

引っ張られ、
後ろから前に行けば…

向き合って、
真正面からグクを見た……瞬間。

もう本当の本当に限界で、
膝立ちになり、
グクにキスをした。

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