通訳ヌナと…【Jungkook：6】

限界 -You- ページ13

招かれざる客。
まさにそんな感じで。

目も合わずササッと歩き、
ゲームをし始めたグク。

話しかけても返事のみ。
話しかけてはくれなくて、
これ以上話しかけるのを躊躇ってしまう空気が漂っていた。


「座ったら？」

ゆっくりとグクがいる畳のお部屋に近づいて、
置いてあったCOOKYのポーチに触れていたらそう言われて。

「うん…」

そう答えて一歩、一歩さらに近づくと、
お布団の上に座り、
ゲームをするグクの背中が目の前にあって。

動く肩や腕。
着ている浴衣のシワ。

手を伸ばせば届く距離。

腰を下ろして座ると、
手が…ううん…全身が。

苦しいほどグクに触れたくなった。

でも言えない。

だって…嫌だって言われたら？

言われそうな気がするし、
ゲームしてるし、
邪魔だって言われたら？


けど…
もう無理だよ。


「グク？」

「はい」

こっちは見てくれないけど、
ダメだ…触れたい。

「私…来て邪魔じゃなかった？」

「邪魔？」

「うん。ほら、ゲームしてるし」

「あ、ならやめます」

「やめないで！」

「え？」

ゲームをやめると言って、
急にグクが振り返ったから。

やめないで、と言いながら、
慌ててグクの腕を掴んだ。

「してていいから！だからちょっとだけ…邪魔になったらやめるから…」

「ヌナ？」

「背中…ちょっとだけ…ギュッてしてもいい？」


グクの丸い目。

すぐに返事が返って来なかったから、
嫌だ、ダメだって言われるのかな？って思って、
見てられなくて目をそらした……ら。


「ギュッてしたいんですか？」

聞き返されて。

グクの顔を見ながら、
恥ずかしさで泣きそうになりながら頷いた。
なのに、

「どうして？」

そんなことを聞いてきたグク。

どうして？

だって…

「その…グクに…」

「僕に？」

「触りたいから」

顔を見ては言えなくて、
でも本心を思い切って口にしたのに。

「嘘ですね」

え？

「だってヌナ、そんな素振り一切見せなかったじゃないですか。会わなくても話さなくても平気そうだったし」

「そんな…平気なんかじゃっ、それに…嘘じゃないよ！私本当にグクに触りたくて、」

「本当に？」

「本当に！」

「テギュヒョンにじゃなくて？」

「グク！」

「ゼヒョンヒョンでもなくて？」

「ちょっ、」

「本当に僕にですか？」

「グクにしか思ってない！」

「ならどうぞ」


くるっと前を向かれて、
目に入ったグクの大きな背中。

泣きつくように、
ギュッとその背中に抱きついた。

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