通訳ヌナと…【Jungkook：4】

車 -You- ページ26

「ここの建物で合ってますか？」

「えっと…あ、はい。そこです」

カーナビに映る地図。
私のアパート。

運転席にはセジンさん。
助手席にはユンギさん。

何度も、
本当に何度も何度もお断りをしたんだけど、
いいから乗れ！
って何度も言うユンギさんに根負けし、
口数は少ないものの、
セジンさんの圧みたいなものにも根負けし…

車に乗せてもらい、
家まで送ってもらえることになった。

走り出した車。
歩道には傘をさす人々。
やまない雪。

静かな車内。
私がいるから普段通りの会話もしにくいのかな？
とも思うし、
ジョングクくんのこと…
何か聞かれるんじゃないかな？と思うと、
申し訳ないし、ドキドキするし、
気持ちが落ち着かない。


って、思ってたら。

「で？ジョングクどうだった？」

やっぱり！と思った、
突然のユンギさんの言葉。

「え！？ど、どうって…」

だから、もう…
なんでみんなさっきから普通にこんな話をしてくるの？

「顔」

「顔？」

「あいつの顔。筋肉が緩むっつぅか、なんつぅか…ずっと被ってた仮面みたいなものが取れて、あいつ本来の顔に戻ってた」

仮面？

「あいつのあんな顔…マジで久しぶりに見た。そういやこんな顔してたんだ…って。あいつの本当の顔はこんな顔なんだ…って。５年ぶり。まだデビューする前の、練習生の頃のジョングクの顔だった」

「……」

「で？付き合ってんの？」

「っ！はいっ？そんなわけないじゃないですか！」

「そうなの？でもあいつ、すっげぇ機嫌良かったから…」

「違います！」

「でもあいつ告ったんだろ？」

「ちょ…っ！ユンギさん！」


付き合ってるとか、
告白とか。

まるでただの雑談のように、
普通に聞いてくるユンギさんの意図がわからなくて…
パニックになる。


すると。


「3時間前、この車にみんな乗ってたんです。宿舎から事務所に向かう為。今日は振り付けの練習があるので。そうしたら車が停まった時、ジョングクがAさんのことを見つけたんです」

運転をしながら、突然。
セジンさんがゆっくりと話し出された。

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