通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

お前だけ -Yoongi- ページ32

涙で溢れるAの目。

言葉はなくとも、
瞳の揺れからAの戸惑いが伝わる。

Aの長い髪の毛先から手がスルッと離れ、
当たり前のようにその下にあった手の上に
手を重ねていたけど。


あ…

もう溢れる。


そう思った瞬間手が動き、
目尻から溢れる涙に触れた。

その瞬間、パチッと目が閉じ、
両目からはポロポロと…
光を吸い込んで輝く涙が頬を伝った。


ほんと…よく泣く。


泣かせてばかり…
本当にそうだけど、
今はそれさえ愛しくてたまらない。

白い頬を伝う涙や、
長い睫毛の先に光る涙の粒。

思わず見惚れていたら、
急にパッと顔を背けようとしたから。

手のひらで触れたAの頬。
じんわりと温かな体温が伝わり、
その体温を感じながら力を入れ…
俺の方を向かせた。


「お前以外に……誰がいるんだよ」


A以外に…
俺をこんな気持ちにさせる奴なんかいない。

もっと見たいとか、もっと話したいとか、
もっと触れたいとか、もっと近づきたいとか。

俺にとってAが特別であるように、
Aにとってもそうであって欲しいと思ったり。

笑うな、話すな、近寄るな、触るな。
他の男に対して、
どんな事情があるにせよ、
そんなくだらない想いを抱いて
ジョングクにさえ妬いたり。



わかってんの？

きょとんとした顔で何も言わず、
元々丸い目がもっと丸くなって。

マジで思ってなかったわけ？

…ってか、
俺が言った意味、わかってる？




正直。
こんなんは苦手。

大切なことだとは思うし、
女は言葉にして言って欲しいのかもしんねぇけど。

メンバー達にさえ、
滅多に俺は言わねぇのに。

ふざけるようにして言い合う、
そんなメンバー達にさえ言えねぇのに。


でも。


Aを上から見下ろしていると、
その言葉がここまで出かかってきて。

そのまま口にしようかと思ったけど…

やっぱりそれは無理で、
たまらず抱き寄せれば…

たった数分前のことなのに。

あぁ…
やっぱりこれだ…って。

Aのサイズ感や抱きしめる感触、
匂いを懐かしく感じ、
自分が欲してたのだと改めて感じた。


そして、
口から自然に出てきた想い。


「Aが好きだ」


口にした瞬間、
身体の中の重かったものが軽くなった気がした。


「初めて会った時。あの日からずっと…Aだけを見てた。Aだけを…ずっと想ってた」


一度口にしたからか、
軽くなったからか。

今までと比べようもないほどの勢いで、
想いが溢れた。

想い -Yoongi-→←好きな人 -You-

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