口紅 -Jiyong- ページ32
そう言って下から顔を覗き込み、
涙で濡れる赤い唇に近づこうとした時、
「やだっ…やっ!やめて!」
Aが本気で嫌がる声を上げ、
振りほどこうと手首にも思いっきり力も入れ、
そして最後には…
座り込むように膝を曲げたから…
握っていた手首を離した。
ズルズルとそのまま崩れ落ちるA。
座り込み、両手で顔を覆い泣いている。
そこまで嫌?
そんなに嫌?
俺ら…結構…今まで楽しく、仲良く話してたよね?
そんなに…こんなに嫌がれるほど、
俺のこと嫌いになったの?
あいつが好きなの?
「そんなにさ…そんなに泣くほど嫌?あいつとはもうしたの?なぁ…あいつがいるから…もう俺はいらないんだ?」
「違います!」
「じゃあなんで!」
上から見下ろしていたけど、
あまりにもハッキリと否定されたから、
その態度にまた苛立ち、俺もしゃがみこみ、
今度は両肩を掴んだ。
またビクッと怖がるA。
涙で濡れる顔。
俺は…笑顔が好きなのに。
いつもみたいに笑った、Aの笑顔が好きなのに…
「ジヨンさん…女の人と…いたんですか?」
「え?」
突然のAの言葉。
すぐには理解できなくて、
でもさっきまでの事を思い出し…
「それが?」
なんてことない。
別に今までもあったじゃん。
Aにも言ってきたじゃん。
でも…
Aから女のことを何か聞かれたのは…
初めてだ。
だからなのかな?
すごく…言いづらくて。
恥ずかしいというか…なんというか…
でもなんで急に?
「口…とか…リップ…付いてます」
そう言われた瞬間、
顔がカッと熱くなった。
鏡が近くにないから顔はわからない。
でも、『とか』という言葉にひかかって、
両肩を掴んだまま自分を見れば、
ベージュのシャツの胸元に擦れた赤い口紅が。
それから、あきらかにAとは違う、
長い髪の毛が左手のシャツから垂れ下がっている。
右肩から手を離し、手の甲で何度か口を擦った。
手の甲についた、薄っすらとした赤い口紅。
口元はもう取れたのかどうかわからなくて、
指でも何度か擦った。
「私…帰ります」
ちょっと気が緩んでた所。
不意を突かれAがそう言って、
左肩を掴む手から身体を避けるように離し、
立ち上がろうとしたから…
後ろから覆い被さるように、
Aを抱きしめた。
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がほ(プロフ) - anzさん» コメ頂いたのに、お礼が遅くなりすみません!最近更新がなかなかできなくて、本当に申し訳ないです。土日で頑張って更新しますので、良かったらまた読んで下さいね^ ^ (2018年11月3日 12時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
anz - 初めまして(´ ˘ `)凄くドキドキする作品をありがとうございます!毎日楽しみに更新待ってます! (2018年10月25日 7時) (レス) id: c7fabd4acc (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ユリアさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!なかなか更新が出来ずすみません!楽しみにしている…と言って頂けて嬉しいです^ ^ (2018年10月20日 9時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - いつも楽しみにしてます!これから先どうなるのかドキドキです! (2018年10月9日 18時) (レス) id: 3eb3ef9154 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - なつこさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!ドキドキしながら読んで下さって嬉しいです^ ^3連休中に続きを更新できるよう頑張りますね^ ^ (2018年10月5日 11時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2018年8月23日 15時