JIYONG -2-

風邪 -You- ページ13

電話を切ったあの夜。
あんなに眠かった眠気は何処へやら。
ソワソワして、あまり寝られなかった。

そして今日も。
機内ではもっとソワソワする気持ちが強くなり、
寝ているみんなを横目に、マスクで隠した顔はにやけることを抑えられなかった。


韓国に飛行機が着いて、何度スマホを確認したことか。

朝から会社で打合せって言ってたから…
まだ終わってないのかな？

そう思いながらみんなと別れ、
電車に乗る前にジヨンさんにメールを送った。

仕事中だったら…と思い、メールにしたんだけど、家に着いて確認しても、既読はついていなかった。

とりあえずスーツケースを広げ、洗濯をしたり、片付けをした。

そして汗かいたからシャワーを浴び、部屋に戻った時、ちょうど電話が鳴った。


「もしもし！」

今回は間違えなかった。

スマホを手に取りながら画面を見、
画面を見ながら指で通話をタップし、
浮かれる気持ちを抑えることも出来ず、
声はきっと恥ずかしいほど上擦っていたはず。

けど。

「あ…A？俺」

ジヨンさんの声。
それがいつもとは違うくて。

「声…どうしたんですか？」

「あー…風邪ひいちゃってさ。午前中はここまでじゃなかったんだけど、昼過ぎからひどくなって…」

「え…今、家ですか？病院は？」

「昼にマネージャーと病院行って帰ったんだけど、ごめん…今起きて…メール今読んだ」

「そんなの…いいですよ。休んで下さい」

時折聞こえる咳の音。
声も低く、掠れていて、
声からも辛そうなのが伝わってくる。

「うん…ごめん。約束してたのに」

「そんな…」

そんなの、全然いいのに。

「このまま、ちょっと話そっか？」

「え？ダメですよ！声、苦しそうだし、寝なきゃ」

「もう充分寝たし。シンガポールどうだった？」

「ジヨンさん！」

「やっぱり…」

「え？」

「今、アレが飲みたい気分。ほら、Aがよく飲む甘い紅茶。何だっけ？アレ」

「マスカットティー？」

「そう！今喉痛いから、甘くて冷たいのが飲みたい気分」

そう言われても…
どうすればいいかわからなくて、返答に困っていると、

「疲れてるよね？」

「え？」

「お見舞い。来て…くれないよね？」

「えぇ！？」

「マスカットティー持って。しんどい？」

「いや…しんどいとかじゃなくて…お見舞いって…どこに…？」

「どこって。俺の家」


頭がなぜがグラグラ揺れる。
聞き間違えなのか、夢なのか、
よくわからなくなった。

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