JIYONG -2-

苦しい -You- ページ45

バカだな…私。

いつまでこうしてるつもりなんだろ。


角を曲がり、
こっちに向かって歩いてくる男の子達。

その中の1人が、
一瞬ジヨンさんに見えてしまって。

明るいブラウンに染められた髪の毛。
黒のニット帽。
細身の身体。
ゆったりした細身のボーダーのトップス。


近づくにつれ、聞こえてきた声。
全然違う。

当たり前だよ。

なのに…

何でこんなに胸が痛くなるのか。




「Aちゃん？」

突然聞こえてきた声。
私の名前。

ハッとして思わず顔を上げると、
そこにいたのはテヒョンさんだった。


「大丈夫？セジンがコンタクトの調子が悪いって言ってたけど…」

「あ…もう大丈夫です。ちょっとゴロゴロしてたので…」

「本当だ…目、赤いね」


赤いのは…

さっきあれだけで泣きそうになったから…

もう嫌だ…こんな私。



「さっきはごめんね？せっかく楽しく話できてたのに…」

「いえ…」

さっきのことを口にされ、
自然と身構えてしまう私。

視線も逸らしてしまった。




「戻ろっか。なんかさっき、女の子達デザート頼みたいって言ってたし。Aちゃんも選ばないと！」


気まずい雰囲気の中、突然そう言われ、
顔を上げるとニコッと微笑むテヒョンさんがいた。

テヒョンさんは…
本当に素敵な人だ。
優しい人だと思う。

最初の時もそうだったけど、
私が気まずくないよう話題を考えてくれ、
今だってそう。

何も言わないで、
何も聞かないでいてくれて。

その優しさが、本当に申し訳ないほど。

席に戻ってデザートを選び、
食べながらみんなで話したり、
またテヒョンさんと話をしたり。

笑ってるけど、心からは笑えてない私。
楽しいけど、心の奥に閉じ込めた何かがある私。

上っ面すぎて。
みんなにもこんな私がここにいるのが申し訳なくなって。


苦しい。


どうすればいいかわからない。


でも苦しい。









「本当に大丈夫？」

「大丈夫です。セジン…楽しいとつい飲みすぎちゃうから。いつものことです」

お店を出てカラオケに行って、
歌いながら飲みすぎたセジン。

引きずるようにしてタクシーに乗り、
私の家に連れて帰るのはいつものこと。


「じゃあ…テヒョンさん、今日はありがとうございました。ジミンさんやみんなにもよろしく伝えて下さい」

テヒョンさんに挨拶をして、
タクシーの運転手さんに行き先を告げようとした時、

「すみません！ちょっと待って下さい！」


聞こえたテヒョンさんの声。

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