JIYONG -2-

恋 -You- ページ44

「どう？テヒョンオッパ。良い人でしょ？」

顔を上げると鏡に写る、
ほんのりと頬が赤いセジン。

「うん…そう…だね」

「2人ですごく話弾んでたじゃん？どう？いい感じ？」

「そんなんじゃないよ。ダンスの話してただけ」

「えー？」

唇を尖らせて不貞腐れるセジン。
ブロンドに染められたキレイな髪を直してあげながら、

「セジンこそ、ジミンさんだっけ？いい感じだったじゃん」

違う話に変えた。

すると不貞腐れて唇を尖らせてた顔が、
ふにゃーっと柔らかくなって、
にんまりとした笑顔になった。

嬉しそうにジミンさんとの話を聞かせてくれるセジン。

可愛い。

可愛くて、
恋が始まるというか、
恋をしているというか、
これが人を好きになるってことなんだ…って。

じゃあ私は…
まだまだ違うんだ…って。

そう思った。







長いテーブルの端っこに、
セジンに誘導され向き合うように座った
テヒョンさんと私。

元から人見知りで、
なのに変に意識してしまって何を話せばいいかわからなかった私。

挨拶はしたものの、
その次の言葉がなかなか口から出てこなかった。

そんな私に、
セジンと僕は…と、
過去の思い出話を話し始めたテヒョンさん。

そこからダンスの話。
アイドルの話。
振り付けの話。
体調管理の話…などなど。

いつの間にか緊張も解け、
話上手なテヒョンさんと話すのが楽しくなった。


「良かった。やっと警戒解いてくれた？」

「え？」

「最初、ガチガチだったよね。顔が」

「すみません…」

「あ…失敗した。また警戒し始めた？」

「そんなっ…こと…」


ないです…とは言えなかった私。

その時、テヒョンさんの後ろにちょっと顔が赤いセジンが見えたから。

テヒョンさんに一言断って、
お手洗いに向かうセジンの後を追ったの。







「はい。可愛くなった」

髪の毛を整えて、パウダーをのせて、
リップを付け直してあげたセジン。

「ありがと」

「ほら、早く戻らなきゃ。ジミンさんも待ってるよ」

「Aは？」

「ちょっと…コンタクトの調子が悪いから、直してから行くね」

そう嘘をついてセジンを見送って、
1人になったお手洗いで息を吐いた。


戻らなきゃ…
ずっとここにはいられない。

楽しくて、忘れてしまっていた時間もあったけど、
戻ったら…

どうしよう…


そう思いながら、
とりあえずお手洗いを出た瞬間…

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