さよなら -You- ページ39
「マジ…なんだよな?」
ジヨンさんの口から出た確認の言葉。
怖くてたまらず、震えそうになった。
「あの時…俺 酔ってて、記憶も…ほぼなくて…何やってんだろ…無理矢理」
「違います!」
無理矢理…というジヨンさんの言葉に反応した。
そうだ。
さっきも無理矢理って聞かれたけど、
その時は事実を口にするかしないかで迷い、
その言葉を訂正する余裕はなかったから。
否定しつつ身体を動かせば、
少し身体が離れ、ジヨンさんの顔を見上げることができた。
本当に申し訳なさそうで、
顔に力もなかった。
そんな顔…ジヨンさんがする必要はないのに。
あの日の夜を思い出す…
「無理矢理なんかじゃありません。だから…謝らないで下さい。謝られたら、私…。むしろ、謝るのは私の方です。気持ち悪いし…嫌ですよね。記憶がない時にそんなことしてたなんて知って…本当にごめんなさい」
「いや、そうじゃなくて」
お願い…
どうか…事実を知ったからと言って、
後悔しないで欲しい。
それをどうか、顔や言葉には出さないで欲しい。
今更ながら、後悔する。
あの時のジヨンさんは酔っていた。
なのに、その酔っているジヨンさんさえ、
私は拒否することはできなかった。
無理矢理じゃない。
嫌々でもない。
好きだから…
応えたかったし、
正常ではないとはいえ、
求められて…例え誰かの代わりであっても、
あの時は…それでも良かったから。
ジヨンさんの身体を押し、離れた身体。
「絶対に誰にも言いません。あの夜のことも、今日までのことも」
覚えておこう。
大好きだった、ジヨンさんの顔を。
きっともう、
こうやって見つめ合うことなんかないから。
髪の毛もセットしてなくて、
もちろんメイクなんてしてなくて、
ラフな服装で…
そんなジヨンさんと過ごせた日々。
もう友達でいることは無理だから、
もうこれでお終い。
最後に…
口元に小さな笑みを浮かべた。
さよなら…
と、心の中で呟いて、
ジヨンさんの横を過ぎ、
ドアに手をかけて廊下に出て、
落ちている鞄と靴を拾い…
最後に、落ちていた紙袋を拾い、
中にある本をきちんと入れ直し、玄関に置いた。
後ろからも周りからも何も物音のしない空間。
バタンッと玄関のドアを閉め、
全部終わった。
エレベーターに乗り、
マンションのエントランスを出て少し歩き、
やっと後ろを振り返りマンションを見上げた時、
嗚咽と共に涙が溢れた。
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がほ(プロフ) - anzさん» コメ頂いたのに、お礼が遅くなりすみません!最近更新がなかなかできなくて、本当に申し訳ないです。土日で頑張って更新しますので、良かったらまた読んで下さいね^ ^ (2018年11月3日 12時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
anz - 初めまして(´ ˘ `)凄くドキドキする作品をありがとうございます!毎日楽しみに更新待ってます! (2018年10月25日 7時) (レス) id: c7fabd4acc (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - ユリアさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!なかなか更新が出来ずすみません!楽しみにしている…と言って頂けて嬉しいです^ ^ (2018年10月20日 9時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - いつも楽しみにしてます!これから先どうなるのかドキドキです! (2018年10月9日 18時) (レス) id: 3eb3ef9154 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - なつこさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!ドキドキしながら読んで下さって嬉しいです^ ^3連休中に続きを更新できるよう頑張りますね^ ^ (2018年10月5日 11時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2018年8月23日 15時