Untitled -3-

もしかして - Jiyong- ページ45

女に限らず、サプライズって好きな奴は好きじゃん。

Aもどっちかと言えば好きだと思う。
俺も嫌いじゃない。

サプライズにもいろいろあって、
部屋を飾るとか…
プレゼントを用意するとか…
友達を呼ぶとか…

誕生日だったり、何かの記念日をより彩るものだと思ってた。

でも。

本当のサプライズって言うのはこういうものなんだと…

嬉しいとか、驚いたとか、
そんな感情よりも、正直、
何も考えることができなくなるもんだと。
初めて知った。

俺の指に触れたAの手。
指先の冷たさ。

その時、自分が呼吸さえしてなかったことに気づき、深く息を吸い込んで…吐いた。

不安そうに俺を見つめるA。

そりゃそうだ。
何か言わないと。

でも何を言えばいいのか…
開いた口をまた閉じて、
唇を噛んで、ぺろっと舐めて。

出てこない言葉の代わりに動かした指。

細い指。
短く切られた爪。

慈しむようにAの指を撫でた。

触れていると、もっと触れたくなる。
向かい合ったこの距離がもどかしくなるほど。

けど。

目の前の不安げなAを見つめた。
あの頭の先…髪の毛一本から爪先まで、
手放す気なんかさらさらない。

全部俺のもの。
俺だけのもの。

「Aの今の言葉って…もしかして…」

もしかして、もしかして、もしかして。

そうであったら最高だけど、
違うって言われても認めない。

「こんなこと…ジヨンにしかしない。言わない。そうだよ、逆…プロポーズだよ」

プロポーズ…

その言葉を聞いて、
真剣な表情のAとは対照的に、
嬉しくて、ダラシないほど照れてしまい、
ニヤける顔が抑えられなくて。

Aから手を離し、自分の顔を両手で覆ったけど、
顔が熱いのがわかる。

一気にアルコールが回ったかのように、
絶対に顔が赤いのもわかってる。


嘘だろ？
マジで？

告白なら今まで何度もされてきた。

でも、逆プロポーズなんて初めて。
しかも、逆プロポーズを受ける男なんて、
この世にそんなに多くはないはず。

だから自分が…なんて、
考えてもみたことなかった。

しかも、頭を下げて、願ってでもそうしたいと思う女から、まさかまさか…

嬉しくて死にそう。

あのワイン、Aも覚えててくれたんだ。

『これからも、ずっと一緒にいよう』

あれ、俺の言葉だろ？
それもちゃんと覚えててくれてたなんて。


やっぱ無理。

たまらず立ち上がり、
Aを立たせ、思いっきり抱きしめた。

お見通し -Jiyong-→←ワイン -You-

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