Untitled -3-

水族館 -Jiyong- ページ14

待ち合わせの水族館。
こんな所に来るのは何年ぶりか。

水族館ってこんなに人気なの？
想像以上の人の多さに驚きつつも、
ジウォンにLINEし、言われた水槽の前に向かった。

大きな水槽の前の広場。
恋人同士が肩を寄せ合って座っていたり、
子供が走り回っていたり、
みんなそれぞれ。

まさか…もういないよな？

くるりと見渡すも、まだそれらしき人はいない 。

いつ来るかわからず、
しかもどこから来るかわからず、
緊張や不安を抱えながら待っていた。

すると、ちょうど正面にジウォンの姿が見えた。
みんなよりほぼ頭一つ分背が高いから、
すぐにわかった。

途端に跳ね上がる心臓。

あ…

向こうが俺を見つけてすぐに離したけど、
多分、手を繋いでいたのが見えた。


人凄かったし…

なんて。
すぐに自分に対して慰めの言葉をかけたりして。

そして、

あ、肩！

ジウォンがAの後ろに回り、肩に手を触れた。

だけどジウォンがいなくなったことで、
やっとAの全てを見ることが出来た。

ニット帽を深く被り、
マスクは目の下ギリギリまで上げた。

目と目が合って、
こんな俺でもわかってくれるよね？

Aは全く動かなくて、
でもここからでも泣いてるのはわかって。

ジウォンが後ろから何か話しかけている。
もちろん俺には聞こえないけど。

あの公園で会った時と同じ…
ライトグレーのコートを着て、
赤いチェックのマフラーをショルダーバックに結んでいるAを見ていた。

と。

ジウォンが肩に置いていた手を離し、
Aに背を向けた瞬間。

Aがパッと俺から目を離し、
ジウォンの方を向き、腕を掴んだ。

その手に添えられたジウォンの手。


胸がえぐられる程痛い光景。

やっぱり、
どうであれ他の奴がAに触れるのは嫌だし。

何より、
Aから俺以外の奴に触れるなんて…
苦しい。痛い。

けど、次にジウォンが離れた時、
Aは追いかけなかった。

その代わり、その場で立ち尽くし、
一人泣いている姿がより胸を痛くして。

一歩、一歩…
ゆっくりと近づく。


どれほどジウォンがAのことが好きで、
Aのことを想っていて、
どれだけ優しく、大切に接してきたのか。

Aもジウォンのことを、
気持ちの名前までは俺にはわからないけど、
どれだけ大切に想ってきたのか…
頼ってきたのか…

二人の関係性が伝わってきて。

けど、動こうとするAを後ろから抱きしめた。

行かせたくない。
もう誰の元へも。

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