Untitled -3-

プレゼント -You- ページ13

広場の隅の方まで歩くと、
立ち止まった瞬間、繋いだ手が離れた。

そして離れた瞬間、
ジウォンくんが後ろを向いた。

「ヌナ……」

「何？」

何だろう、何か違う。
ドキドキしながらジウォンくんの言葉を待った。

「ヌナを好きになって、今日、今のこの瞬間まで、一度たりとも後悔したことはないよ。大好きだった。本当に…大好きだった。だから。ヌナには、誰よりも幸せでいて欲しい」

「ジウォンくん…？」

「ちょっと早いけど、誕生日おめでとう。俺からの誕生日プレゼント」

そう言うと、
ジウォンくんが急に私の後ろに回った。


でも意味がわからなくて、
後ろを向こうとした瞬間、
後ろから両肩を掴まれ、ちょっと右を向かされた。


「ヌナ、前見て」

「え……」


え………
嘘………


「わかった？誕生日プレゼントは、『モノ』じゃないって言ったよね？」


ジウォンくんの声が頭に響くだけで、
他の音は何も聞こえなかったし、
身体も動くことができなかった。


「ごめん、勝手にこんなことして。だけど、ヌナにはどうしても幸せになって欲しくて。今も好きなんでしょ？忘れられないんでしょ？不安なことは口にして、素直に気持ちを話して向き合って。そしたら、きっと上手くいくから」

涙で視界がぼやける。
何が何だかわからない。

「俺は、ここでお終い。ありがとう、ヌナ」

「待って！！」

急に肩からジウォンくんの手が離れたから。
振り向いて、立ち去ろうとするジウォンくんの腕を掴んだ。

「何これ…何で…」

ジウォンくんのコートの袖を掴んだ私の手。
その手の上に、そっと添えられたもう片方のジウォンくんの手。

「ヌナ、こっち向いちゃダメじゃん」

「待って…行かないで！」

「ダメ。ヌナの行く場所はあっちだよ」

「ジウォンくん…！」

「俺は、いつもそばにいるから。友達として、ヌナがしんどかったり、困ってる時はいつでも助けに行くから。幸せになって…誰よりも…じゃないと俺は…」


ジウォンくんの手が優しく私の手を掴み、
コートから離した。

「ごめん…なさい…」

笑顔で手を振って立ち去るジウォン。
その後ろ姿を見ながら泣くしか出来なくて。

気持ちが揺れた時期があったのも事実。
楽しかったのも事実。
だけど、今、追いかけられないのも事実。

でも人混みに紛れ、姿が見えなくなった瞬間、
姿を追うように身体が動いたのも事実。


だけど。


「行かないで」

後ろから抱きしめられ、
耳元でジヨンの声が聞こえた。

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