-0.TO.10-

願い -You- ページ39

朝起きて、カーテンを開ける。
朝日を見ると、毎朝思う。

変わらない日常だと。



あの日、駅に着くとまだファンの子達がたくさんいた。
テソンのコンサートのグッズを持ったファンの子達。

数時間前のことなのに、テソンのコンサートがだいぶ前のことのように感じた。

そして思い出したかのようにテソンに電話をかけ、
運良く出てくれたから、直接さっきのジヨンくんとのことを話した。

話とかないと辻褄合わなくなっちゃうしね…
話も合わせてもらわないといけないしね…


電話切って電車に乗り、
ホテルの部屋に入った途端、涙が一気に溢れてきた。


『囚われてる気がして』


ジヨンくんが言ったその言葉が頭から離れない。

懐かしんで欲しいとか、
思い出したいと願って欲しいとか、
そんな風には思ってない。

だけど囚われてるという言葉…

受け取り方なのかもしれないけど、
私がジヨンくんをいまだに苦しめているような気がして。

あの時、そうならない為にした行動なのに、
結局、別の意味で苦しめているのだと…

そう思い、本当に申し訳なくて。


本当は、ジヨンくんが急に、
過去に会ったことはないか？と聞いてきた時、
0.1%でも私の何かを覚えてくれていて、
それでそう言ったのかと思い、
正直、少し嬉しく感じた。


『私だよ。私なんだよ。』

心の中でそう呟いたけど、ジヨンくんにはハワイで会ったのが始めてなんだと言った。

わざと左手に右手で爪を立てて。
だってそうしないと泣いてしまいそうだったから。


2度目の『さよなら』。

3度目はない。

だから、いろいろな想いを込めて、
永遠の『さよなら』をした…つもり。




また日常に戻り、少しずつ、ハワイで出会う前のような日々に戻りたい。

だけど戻れない。


今日も『過去に囚われて』苦しんでいるのかな？と思ってしまうから。

だから毎晩寝る前に願う。

どうかジヨンくんが過去に囚われませんように…と。

今が幸せで、過去のことなんか思い出しませんように…と。

消えない -Jiyong-→←空っぽ -Jiyong-

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