空っぽ -Jiyong- ページ38
「ごめんなさい…急に。」
鞄からハンドタオルを出し、頬や目を押さえるミニョンさん。
見ていると……
どこか懐かしく感じるのはなぜだろう?
「あの……ミニョンさんと俺って…過去に会ったことありませんよね?」
なぜかミニョンさんを知ってるような気がすることを恥ずかしながらも話した。
涙を拭き、フーッと細く息を吐き出すと、
ミニョンさんが俺の目を見てまたクスッと笑った。
「ハワイのビーチでお会いしたのが初めてです。個性も特徴もない顔なんで、きっとどこにでもある顔なんですよ。でもジヨンさんのお知り合いの方とほんの少しでも似ているのなら、光栄です。」
やっぱり会ったことはないのか…
がっかりした俺とは対照的に、
ミニョンさんは笑みを浮かべている。
「そろそろ…周りも落ち着いてきましたね。」
辺りを見渡してミニョンさんがそう言った。
「ジヨンさん。今、幸せですか?きっといつか、過去に囚われることなく、急に思い出したりとか、そういうのがなくなる日が来ますよ。そうなるよう、願ってます。じゃあ…私はそろそろ。気をつけて帰って下さいね。」
「あ…はい。ミニョンさんも気をつけて…。さよなら。」
「…………さよなら。ジヨンさん。」
……………
「…って、聞いてる!?」
「ん?…あ、ごめん…」
「昨日の夜からお前おかしいよ。ずっとボーッとしてるし、体調悪いの?」
「いや、別に。なんか…疲れただけ。」
そう言ってジャケットを頭から被った。
『さよなら』
昨日のミニョンさんの言葉が、ずっと頭に残ってる。
そして頭からミニョンさんが離れない。
『さよなら』と言われた瞬間、心臓が爆発するんじゃないかと思うほど大きく鳴った。
痛くなって、苦しなって、
もっといえば寂しくなって。
心地良さもなくなって、孤独感が襲ってきて。
春の太陽みたいに心が温かくなっていたのに、
一瞬にして真っ暗な光の届かない世界にいるような感覚になった。
胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。
ずっと欠けていると思っていた部分が、
温かさで?心地良さで?
ミニョンさんといることで満たされつつあったのに…
『さよなら』
この言葉でまた全てを失った。
自分の身体の中が空っぽ。
なんかそんな感覚。
だけどこんな想いも切り替えないといけないのはわかってる。
だから後もう少しだけ。
会社に着くまでは、空っぽの身体の中に1つだけあるミニョンさんの存在を想っていたい。
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がほ(プロフ) - ritaさん» ただいまですー(^∀^)またボチボチ書き始めますので、よろしくお願いしまーす!! (2017年4月19日 21時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
rita(プロフ) - おかえりッ☆(*´∀`*)ノ (2017年4月17日 23時) (レス) id: 126bc83529 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - まあさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当にすみませんでした>_<またボチボチ書き出していこうと思ってますので、続きを読んでもらえると嬉しいです^ ^コメ本当にありがとうございました! (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - KUMIさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当に長々とすみませんでした>_<またボチボチ書き出していこうと思ってますので、もしよかったら、また読んでもらえると嬉しいです^ ^コメ本当にありがとうございました。 (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - まいこさん» こんばんは☆更新も滞り、いただいたコメの返信もしないまま、本当にすみませんでした>_<また書き出していこうと思ってますので、もしよかったら、また読んで下さいね^ ^コメ本当にありがとうございました。 (2017年4月12日 23時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2017年1月23日 1時