-0.TO.10-

コンサート -Jiyong- ページ32

グループとしての活動を休止中の今、
各々が個々に活動をしている。

俺自身も6月からソロツアーが始まるから、
新しいアルバムの作成や、ツアーの打ち合わせで忙しい。


だから今月日本で始まったテソンのコンサートは、日程的に行けないよな…って諦めてたんだけど…

どうにもこうにもここ数日煮詰まっていて、
何をしたって上手くいかない。

だから休みがてら弾丸で日本に行くことにした。

ちょっとオフがもらえたこと。
テソンのコンサートが観れること。

久しぶりのこのソワソワ感とワクワク感。


いつもなら自分がいるステージをこうやって眺める感じ。

不思議で、それだけで笑えてくる。


コンサートはやっぱ最高だった。
今日来て明日帰る。

身体的にはキツイけど、すげーリフレッシュできて、来て良かったって思えた。

バレる前に…と、アンコールの途中で早めに席を立ち、テソンの元に向かった。

下を向き、先に前を歩くマネージャーの後ろをついて行っていると、今通り過ぎた後ろのドアが開く音がした。

ここのフロアはたしか関係者席ばかりのはず。
友達？日本でのテソンの知り合い？

…と、思った瞬間。
ある1人の女性の顔が頭に浮かんだ。

考える間も無く後ろを振り向くと、
いたのは女性で、でも後ろ姿で顔は見えない。

マネージャーの怪訝そうな声が聞こえるけどそれは無視して、引き寄せられるように女性の方へと歩き出した。

顔も見えないその女性の後ろ姿を目で追ってると、
どこかが苦しいような、痛いような感じがする。

下唇を噛みながらそれでも見ていると、
女性が会場の外に出た。

足が一歩、前に出たけど、二歩目は出なかった。

一瞬見えた女性の横顔。
間違いなく、ハワイで見たあの女性だったから。

「ジヨン、どーした？」

ポンッと肩を叩かれ、マネージャーの声で我に帰った。

質問に答えようか、どうしようか。
女性を追おうか、追うまいか。

グルグルいろんなものが頭を周り、
どうしたらいいのか、最善の答えが見つからない。


「ごめん…知り合いがいて…ちょっと待ってて
…」

「え？…っおい！ちょっ…！」

マネージャーの返事なんか聞かず、走り出した。

頭で考えても答えが見つからないなら、
身体に任せようと思った。

なぜ彼女が気になってしまうのか理由がわからないから、それなら直接声をかけてみようと思った。





「…あの！ちょっ…すみません！」

ゆっくりと彼女が振り向いた瞬間、
やっぱり…頭がぐらりと揺れた。

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