【鬼滅の刃】煉獄杏寿郎さん、こちらに来ちゃいました

肆拾 ページ41

「っ…！？」






くすぐったさを感じていた場所は、今はもう別の感触に変わった。



一瞬だけの痛みが奔る。







そして顔をゆっくりと上げた煉獄さんは、ペロリ と唇を舐めた。





その姿にゾクリ と身体が反応する。





彼は満足そうにその場所を撫でていた。







「…暫くは消えないな、これで困ればいい。」







静かに笑う彼は、正気ではない。





このままだとお互い後悔してしまう…！

そう瞬時に感じた私は、緩んだ彼の手から逃れた両手を思いっきり頰に当てた。






バチンッ！






「っ………


…少女？」







勢いよくヒットした平手は、音がよく響いた。




このおかげで瞳に光が戻る彼。


自分の状況に気づいたのか、慌てて私の前から飛び退いた。





元に戻ってくれて安心した私は 肩の力が抜ける。






よかった…戻ってきてくれて。





安心したのも束の間、目の前では盛大に頭を床につけている姿が目に入った。






「えええ！れ、煉獄さん！？」




「すまない！！俺は君に失礼極まりないことをしてしまった！！本当に申し訳ない！！！」






あの炎柱の煉獄さんの土下座が見れてしまった…

ってそんなことではなくて！！






「顔を上げてください！そもそも 私がいけなかったのですから。」







頑なに上げてくれない彼の元に行き、力づくて向きを変える。






「すみません、不快な思いさせてしまって。」


「いや それを謝るのは俺だ！申し訳ない！！」





きっと私が隣で寝るのが 嫌だったのよね…



出会って間もない女性と同じ部屋、しかも一緒のベッドだなんて煉獄さんから考えてみればあり得ないことだったのだろう。







でもここでこんなやり取り続けていたら、いつまで経っても寝るまでに至らない。







「煉獄さん、私の隣が嫌でしたらソファにでも行くので、ここに泊まってください。」


「……いや、そういうわけではないんだ…」






え？じゃあ一体何に対して 怒っていたのだろう。







「大丈夫だ。本当にすまなかった。
俺はあちらで寝るから君はべっどを使ってくれ。」






それだけ言い残すと、すぐにソファで横になる煉獄さん。





「あの、お風呂は…」







その返答が返ってくることもなく、彼は私に背を向けてそこで寝てしまった。




…まだ怒ってたのかな。











結局本当の理由が分からないまま、私もベッドに潜り込み 朝を待ったのだった。

肆拾壱→←参拾玖

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す