近すぎて【衣更真緒】 (ページ38)

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真緒side

｢だからね、真緒＿＿＿＿｣

Aが気まずそうに黙り込んだ

俺はフラれるのか…Aに好きな人が出来たから

いいな

不覚にも思ってしまった

Aからこんなに愛を与えてもらえる男を

誰かも分からないけど、そいつが羨ましい

『いいな、そいつ…Aからそんな大きな
愛を与えられる男が羨ましいや。

最後にもう一度、言いたい…

俺を愛してはくれないのか…？』

俺はAを抱きしめた

あいつの口から聞きたくないのか、抱きしめて

俺へ気持ちが揺らがないか…って最低だな

俺はやっぱりAに謝ろうと

抱きしめていた腕を解こうとした

ギュッ＿＿＿＿＿＿＿

｢私、真緒のためになら世界を滅ぼせるよ…！

好き。真緒が好き。

私は真緒にドキドキしないから、これは恋愛感情じゃないって思ってたけど

私以外の女の子やファンの子達に
囲まれていると

私の方が真緒を……って嫉妬した…｣

Aが嫉妬…

俺たち両思いってことでいいのか？

｢愛ってドキドキするだけじゃないんだって
誠矢さん、いや、氷鷹先生が教えてくれたの。

真緒といると特別楽しくて、嫉妬して苦しくて

そんなふうに色付いた世界。

真緒が好き。

勝手に決めつけて気づかなかったけど

ずっと前から好きだったのかも…！｣

そう言って、俺の胸に顔を埋める

Aが可愛かった

ギューっと俺を抱きしめる腕が

嬉しくて、俺も抱き締め返した

力いっぱい、幸せが逃げないように

でも、女の子＿＿壊れ物を扱うように優しく包み込む

『俺、今すごく幸せだ！

A＿＿＿』

俺らは見つめあった

お互いに抱きしめた腕は離さないままで

『俺はお前が大好きだ。

愛してる。俺と、ずっと一緒にいて欲しい。

そして、お前をドキドキさせてやるよ』

俺はそう言った

Aはありがとうと女神のように微笑んだ

『(これっていい雰囲気になってきてないか？

俺らは両思いってわかったし

い、いいんだよな…？)』

俺はAの顔へ自分の顔を近づけた

Aの頬に手を添えて＿＿＿

『……！』

Aは顔を逸らした

やっぱ、そこまでは嫌だよな…

｢そ、ういうことは…

結婚してからじゃないと…｣

『(け、けっこ…結婚！？
これからもA以外を好きにはならないと
思うけど改めて口にされると
気恥しいな)

いや＿＿＿』