美夜の日記 1《続》 ページ8
「肝試しって……どこ歩くの？」
結城の質問に、雅ちゃんが答える。
「んーっとね、裏山の神社がゴールで、途中に墓地があるから、墓地の入り口からスタートかな。
もっと長くしたかったら…」
「いや、いいよ」
と即答して、結城は考え込んでる。
※雅…濃野平 雅(このひら みやび)
このお泊り会の会場提供者。
今、私達がいるのは、濃野平家
のリビング。結城と座ってたソファ、大きくて二人でも余裕だったしすっごいフカフカだったなぁ…
これってもしかして……一人で歩くの？
だとしたら……最悪。
一人で、夜の墓地。
真っ暗な中、不気味な音がして、懐中電灯で照らしたところにあったのは、カタカタと震える骸骨だった…とか
風でもなくて誰もいないのにガサガサ鳴る茂…とか
青白く光る人魂…とか
よくある安っぽい怪談話だけど
もしほんとだったら……？
考えるだけで泣きそうになる。
一人なんて、絶対にヤダ。
雅ちゃんに聞いて、確認したい
けど……なんて言えばいいの？
わからない。人との接し方なんて。
なんて呼べばいいのかもわからない。
ちょっと怖くもある。
今まで喋んなかったのに、
いきなり何なの？
って思われないかな。
『変な子』って思われないかな。
冷たい目で見られたりしないかな
それが怖い。
いつからそんな臆病者になったのかな
こんなのおかしいってわかってる。
普通じゃない。
もっと信用しないと、友達だって出来ないって。
それでも……私にとっては怖いんだよ。
でも……聞かないと。
悩んだ末、震える手で、雅ちゃんの肩にトントンと触れた。
「ん？なに？どしたの？」
くるッと振り返って、不思議そうに首をかしげる雅ちゃん。
ええっと……なんて言えばいいんだっけ!?
テンパっちゃって、ちょっと顔が熱くなる。
今更、すっごい緊張。
「あ、あのっ、み、みみゃみちゃん！」
あ……
顔から熱が引いていき、頭が真っ白になる。
サイテーだ
失礼過ぎる
嫌われてもおかしくないよ…
他人の名前、噛んじゃうなんて………！
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作者名：月夏 | 作成日時：2018年7月9日 17時
