結城の日記 2 《続》 ページ11
「そういえば、本題忘れてたね
どしたの？」
雅ちゃんは、美夜ちゃんの顔から手を離すと、小首をかしげて訪ねた。
「あ、えっと…肝試しって、もしかして、一人で歩くの……？」
「ん〜、二人か一人なんだけど……あ、もしかして、一緒に歩きたい人でも居るの？」
美夜ちゃんの、一緒に歩きたい人？
僕かな？なんてそんなわけないよね……
わかってるけど、断られるのが怖い。
怖くて聞きたくないけど…気になる。
だから、こっそり盗み聞きしちゃうんだ
でも、予想してたけど
「違うよ」
美夜ちゃんは、僕の期待をあっさりと裏切った。
「じゃあ……もしかして、怖いの？」
「そんなわけないじゃん…」
雅ちゃんは、ニヤニヤと笑いながら、美夜ちゃんに詰め寄る。
「怖いの？」
美夜ちゃんは、目を逸らして首を振る。
「怖いんでしょ？」
顔を覗き込んで聞いた雅ちゃんの視線に、耐えきれず美夜ちゃんは、
「……どうだろうね」
と答えた。
勝ち誇ったような顔の雅ちゃん。
そして、それを悔しそうに見つめる美夜ちゃん。
雅ちゃんも、なかなか可愛い。
それから、美夜ちゃんはものすごく可愛い。
そんな二人のツーショットを、心の底に仕舞い込めただけ、良かったと思うことにした。
「わかったよ〜
だったら、私と孝介でやろっか
そしたら美夜ちゃんと……結城君で!」
こころなしか、雅ちゃんがこっちを見てニヤリと笑ったように見えた。
いや、絶対こっち見て笑った。
自分で頑張らなきゃいけない所なのに、雅ちゃんに頼っちゃったみたいで、情けない。
しかも、僕がそう思ってるのを雅ちゃんに見透かされたみたいで、なんか悔しい
しかも、あんなに仲良くして……
ううん、雅ちゃんはいい子なのに
でも、なんだか、重くて暗い……黒い感情が沸いてくる。
こんな感情、なんて言うんだろ……？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月夏 | 作成日時：2018年7月9日 17時
