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赤side
「…え」
淳太に突然逃げられた重岡です。
ドラマの撮影が終わり1人寂しく帰ろうとした時偶然淳太に遭遇。誰かを待っているのかぼーっとしている淳太が可愛くて写真を撮ってしまったのがいけなかったのか。けれどそんなことでこんなふうに逃げ出すのは淳太らしくない。
「…え…しげ?」
呆然と立ち尽くしていると聞きなれた声に話しかけられた。
「小瀧…」
「なんでしげがおるん?淳太は?」
そう聞いてくる小瀧から淳太が待っていたのは小瀧だったということを理解すると同時に。
「ごめん」
「…は?なんで謝るん?」
メンバーとの、末っ子との約束を破ってしまうほどに俺は淳太を追い詰めていたことにも気づいた。
怪訝そうに見つめてくる小瀧を目の前に俺は自分でもわかるほどに下手くそな笑顔を貼り付けた。
「淳太。俺のせいで逃げてもうた」
そう言った途端俺は小瀧に抱きしめられた。
「え、こた…」
「なあ、しげ」
驚きすぎて固まっていると小瀧の震える声が聞こえる。
「しげにそんな顔させとるんは淳太?」
言っている意味がわからず顔を見上げると初めて見る表情をした小瀧がいた。
「…なんて冗談や。今回はほんまにしげのせいやろ」
困惑している俺を他所に突然俺から離れておちゃらけたように話す小瀧にまた困惑する。
「しげさ、週刊誌撮られとったで」
「…は?」
そう言って見せられたスマホの画面を見ると確かにそこには俺が映っていた。
「しげがあまりにも悲しそうな顔をするから可哀想に思ったけど流石に今回は味方になれへんわ(笑)」
「え、いや、え?これ、俺なん?」
「しげでしかないやろ」
記憶のない密会。必死に過去の記憶をたどってみるとある日のことを思い出した。
「で、実際どうなん?」
「…それ別に2人だけやないわ。あほ」
俺はそう吐き捨てるように呟いて項垂れた。
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作者名:年長さん | 作成日時:2023年3月25日 1時