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橙side
「…は？」
収録が終わり楽屋に戻ると重い空気のマネージャーから信じ難い情報を告げられた。
「重岡さんが週刊誌に撮られました」
しげは俺らの中でも一二を争うほどにプライベートを気遣っている。それはもちろん恋愛に関しても。そんなしげが週刊誌に撮られたなんて信じ難くて。
「…ほんまなん？」
思わず聞き返してしまった。
「本当です。事務所の方針としては無言を貫きますがまた撮られてしまったら元も子もないので出来れば桐山さんから忠告していただければと」
「…わかったわ」
俺はそう返事をしてから元から少ない荷物をとって外に出た。そして、スマホを開き今はまさに新幹線の中にいるであろう彼に電話をかける。
「…もしもし？」
「あ、淳太くん？」
心無しか元気がなさそうで心配になる。
「どうしたん？」
まだ情報は入っていないのか。それでもいつか知らなければならないのであれば。
「しげのことについて話すことあってん」
早めに伝えた方がいいと思うのだ。
すると淳太くんの息を呑む音が聞こえる。
「…週刊誌のことやろ？」
自嘲気味に言う彼に心がぎゅっと締め付けられる。
「まさか新幹線で知るとは思わんかったわ」
「おん」
「…あいつ、スタッフさんとも飲みに行くんやな」
この場に淳太くんが居たら抱きしめているのに。何も出来ない自分が憎い。
「…なら俺らも飲み行く？」
「そんなんしてもしげはなんも思わんやん」
少し笑ったふうにして返してくれはするが、やはり足りない。いつも淳太くんを笑わせてるあいつが居ないから。
「あ、もうそろそろ切るな」
「おん。…なあ、ホンマにいつか飲み行こうな」
「ありがとう」
電話が切られたのを確認してスマホを見つめる。
なあ、しげ。それが本当やったとしたらほんまにあかんぞ。
俺は強くスマホを握りしめた。
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作者名：年長さん | 作成日時：2023年3月25日 1時
